指を3本切除してわかった「自分の物差し」のつくり方
──相談者は友人など、周囲から反対されています。
友人の言うことはもっともです。客として行くのと、店に立つのは違いますから。行きつけのマスターにも、ぜひ相談した方がいい。止められたら、その理由こそ判断材料の一つになる。ただ、最後に決めるのは他人の意見じゃなくて、自分の経験です。
僕は身体改造で、指を2本取っているんです。実際に取ってみて、指がない生活を知った。不便なことはあるし、ないはずの指がかゆくなることもある。でも、思っていたほど大したことじゃなかった。それを経験したから、自分なりの物差しができたんです。
実は最近、もう1本取りました。指が3本なくなったらどんな感覚になるんだろう、という好奇心からでした。
──かなり極端な例ですが……。ただ、「自分で経験してみないと分からない」ということですね。
もちろん、指の話を真似しろというわけじゃないですよ(笑)。人と違うことをすればいいわけでもない。
大切なのは、自分で考えて、覚悟を持って経験すること。そうやって初めて、自分の物差しができる。見た目が普通でも、自分の物差しを持っている人の方がよほど面白いですよ。
「いい会社に入った方がいい」「安定した仕事を続けた方がいい」。そういう世間の正解が、全部間違っているわけではない。でも、それが自分にとっても正解だとは限らないでしょう。
──最後に、相談者へアドバイスをお願いします。
会社員を続けるのが幸せか、バーを営むのが幸せか。それを決めるのは上司でも友人でもなく、自分です。だから、まずは実際に店に立ってみたらいいんじゃないですか。そこで思っていたのと違ったら、また考えればいい。45歳なんて、まだまだ知らない世界がたくさんあると思いますよ。
あのボディサスペンションに挑戦した57歳のお客さんだって、若い頃は、宙吊りになる人生なんて想像していなかったと思いますよ(笑)。
今回の「異端で堅実なひと言」
挑戦することと、無計画に飛び込むことは真逆ですよ。
取材・文/全夏潤 写真/わけとく














