顧客に「わざわざ足を運ぶ理由」を与える競合スーパーの強さ
U.S.M.Hの主力スーパーの一つが、茨城県が地盤の「カスミ」だ。関東地方を中心に店舗網を展開しており、駐車場付きの地方都市・郊外型の店舗に強みを持っている。2003年にイオンと資本・業務提携し、その後2015年にはマルエツなどと経営統合した。
カスミは2026年3月~8月の既存店売上高が前年同期間比1.6%の減少だった。さらに9月単月は前年比2.4%減となり、6~9月はいずれも既存店売上・客数ともに前年を下回っている。カスミは客数の減少要因の一つに「競合出店への対応不足」を挙げた。地方都市や郊外でも競合店の出店が相次いでいる。
競争が激化している象徴的なエリアが栃木県鹿沼市だ。東北自動車道「鹿沼I.C.」から車で10分ほど走ると「フードマーケットカスミ 鹿沼店」がある。2025年10月、そこから車で5~6分の場所にオープンしたのが、ディスカウントストア「スーパーセンタートライアル鹿沼店」だ。
トライアルは生鮮食品を含む食料品だけでなく、日用品や酒類、家電まで幅広く扱う大型店舗である。「エブリデイ・ロー・プライス」を掲げ、年間を通じて常に低価格で販売することに強みを持つ。
トライアルの顧客層の中心は家族連れで、大量の肉や魚、大容量の食品・日用品をまとめ買いするケースが多い。カスミは日常的に使う地域密着型のスーパーマーケットだが、まとめ買いができる店舗が近隣にできれば、買い物需要が分散し、カスミへの来店頻度や購入点数が減少する懸念がある。
さらに2025年6月には複合商業施設「アクロスプラザ鹿沼」がオープンしていた。この施設の核テナントがマミーマートが展開する「生鮮市場TOP!」だ。安さを武器にしていることに加え、珍しい食材を扱っていることでも知られるブランドである。
例えば、生ホルモンや希少部位などの珍しい生鮮食品、味付け肉、自家製漬け魚などだ。カスミのような競合店との差別化ポイントは、「ここに来れば面白い食材がある」という買い物をする楽しさの提供だ。
地方や郊外は車の所持率が高い。家の近くではなかったとしても、その店で買い物をする理由があれば、車で10分ほどの移動は大きな障壁にはならないだろう。トライアルやマミーマートは差別化ポイントの高い店を出し、価格の安さや豊富な品ぞろえを武器に、従来の地域密着型スーパーと顧客を奪い合う構図が生まれている。













