将来への不安で勉強に集中できず毎日、手首を切る
中学に入っても成績への過干渉は続いた。父親に「学年3番以内に入ってないとダメだ」と命じられたが、学習塾に通っても成績は真ん中あたり。
勉強に追われて体がだるく、所属する吹奏楽部の練習中に、背骨を曲げて「ぐにゃっと」座っていたら、部長に「そういう態度取られると場の空気が悪くなるから止めてくれる?」と叱責された。
「面と向かってバンッと注意されたことが親以外になかったから、人がすごく怖くなってしまったんです。それから “怖い”と感じる相手の範囲がどんどん広がってしまって……。
もともと、子どもの頃から乱暴なコミュニケーションしかできなかったんですよ。イヤなこと言われたら反射で言い返すとか、自分の言いたいことを一方的に話すとか。
注意されたことで、ますます人とうまく関われなくなって。学校にいるだけで息がギューッと詰まるように苦しくなっちゃって、だんだん教室にいられなくなったんですね」
虎井さんは保健室に逃げ込んだ。ホッとできたのは、隠れて絵を描いているときだけ。苦しい気持ちは親にも言えなかったという。
「その頃、学校でイヤなあだ名を付けられたんです。そのことを母親に相談したけど、『負けないで、もっと頑張んなさいよ』と言われてしまって。『ちょっと休もうか』とか、寄り添ってほしかったのに……」
学校にいること自体が苦しい。それでも、親が望むレベルの高い高校に進むためには、勉強しなければならない。
そんなプレッシャーから不安が募り、家で勉強していても集中できなかった。勉強机の上には常にカッターを置き、心が乱れると手首を切った。
「ズバッと深く切るまでは勇気が出なくて。浅かったけど、毎日やってました。もし、親の希望する高校に受からなかったら、本気で自殺してやるって思っていた。どうにか受かったので、心底安心したんですけど」

















