たった1枚で見る「日本経済の見取り図」
次の図は、内閣府が公表している「令和5年 日本経済の循環」を簡略化したものである。
この図のすごいところは、企業が生産した「価値」が「所得」になり、その所得が「消費・貯蓄・投資・海外への貸出」として流れていく様子を、ひと目で確認できることである。
図中の数値は、単位を「兆円」と考え、おおよそ現実の日本経済に近い規模感になるように置いている。ここでは統計の厳密さを追うのではなく、経済全体がどのようにつながっているのか、その見取り図を手に入れることが目的である。
今回は図中の①と②について考えてみる。
「生産」を経済学で見てみると…
図に「GDP」「GNI」「貯蓄」「投資」「国富」「対外純資産」といった言葉が登場する。一国経済の循環の中で、自然につながっている概念だが、ここで解説していく。このつながりを最初に見ておくと、後の講で「いま自分は経済全体のどこを見ているのか」が、わかりやすくなる。
この経済では、1年間に国内で1000の生産、つまり国内生産(1000)が行われている。ここでいう国内生産とは国内で作られた財・サービスの総額である。
簡単に言えば、「国内でどれだけの国産品が作られたか」を表している。
財とは、自動車、米、衣服、スマートフォンのように形があり、手に取ることができるものである。
対して、サービスは、医療、教育、散髪、交通、観光のように、形はないが人々の役に立つ活動である。農家が米を作るなら財の生産であり、病院が診療を行うならサービスの生産である。
なお、経済学では、財とサービスをまとめて、単に「財」と呼ぶことも多い。ここでも、厳密に区別する必要がない場合、財・サービスをまとめて「財」と呼ぶ。また、私たちにとって日常的に使い慣れている表現として、「商品」という言葉を使うこともある。
さて、「生産」は何もないところから突然生まれるわけではない。
企業が生産を行うには「労働」と「資本」が必要である。労働とは人々が働くこと。資本とは工場、機械、建物、設備など、生産のために使われるものを指す。
この図では、資本、つまり「生産設備」(3500)とされている。これは日本がこれまでの経済活動を通じて蓄積してきた生産の土台である。













