金融政策の具体的手段に首相が言及する異例の会談

そこには、日本銀行について「『強い経済』の実現のためにも安定的な物価上昇の実現に資する適切な金融政策運営を伴うことが非常に重要」「日銀法第4条及び政府・日本銀行の共同声明の趣旨に沿って政府と緊密に連携」と記載されていた。

だが、7月に閣議決定されたものは「日銀の独立性」に配慮し、「日銀法第3条に基づき、金融政策の具体的な手法については日銀に委ねられる」との文言が付け加えられている。

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さらなる円安進行や長期金利の上昇を招きかねないと事務方が加筆したのかもしれない。だが、時事通信は8月5日、首相が5月に植田和男・日銀総裁と会談した際、「長期金利の上昇を抑えるため、必要に応じて国債を買い入れるよう求めていたことが4日、分かった」と報道。金融政策の具体的手段に首相が言及する異例の会談だったと報じている。

政治には「表と裏」があるのだろう。たしかに日銀は6月の金融政策決定会合で政策金利を1%に引き上げるとともに、国債買い入れの減額措置停止を決定した。首相は利上げに難色を示していたとされ、両者にはすきま風が吹く。

多くは既存事業の焼き直し感が否めない「日本成長戦略」

歴史的な円安は28年ぶりの日米協調介入によって急激な円高に転じたが、円ドル相場が落ち着いていくのかといえば「否」だろう。背景にある日本と米国の金利差に加え、「責任ある積極財政」を掲げる高市政権への不安も国内外には存在する。

骨太の方針と同じく閣議決定された「日本成長戦略」は、首相が注力する経済安全保障の強化や危機管理投資、AI(人工知能)など先端技術に対する積極投資といった「高市カラー」が並ぶものの、多くは既存事業の焼き直し感が否めず、総花的で新味を欠く。

財源の裏打ちが怪しいものもあり、さらなる長期金利の上昇を招きかねないリスクを負っているとの見方は消えない。円安進行や金利上昇という“爆弾”は、高市政権に今後もつきまとい、常に市場の動向をにらみながらの政権運営を強いられることになるだろう。

皇室典範改正や経済安全保障の強化、スパイ防止法など高市首相が取り組む課題は国家にとって重要なテーマである。だが、その時々で国民に必要性を十分に説明してきたと言えるのか。