「利己的な理由で殺害したものではない」

判決によれば、母親のA子被告は3月8日の未明から早朝の時間帯に、自宅で、脳性まひで手足や体幹に重い障がいをもつ長女B子さんの顔を衣装ケースに張った水の中に沈めてB子さんを溺死させた。A子被告はB子さんが死んだ後、自らも死のうとしたが死にきれず、近所の知人に連絡し、事件が発覚した。

深野裁判長は「犯行態様は、動くことができない被害者の顔面を水の中に沈めるという危険かつ悪質なもので強い殺意が認められ、被告人の行為は決して許されるものではない」としながら、「被告人は被害者の介護を献身的に続けて生活や尊厳を支え、被害者の幸せを第一に考える生活を続ける努力をしてきた。被害者の状態が悪化したため、被害者と共に死のうとするに至ったもので、利己的な理由で殺害したものではない」と述べた。

公判が行なわれた千葉地方裁判所(撮影/集英社オンライン)
公判が行なわれた千葉地方裁判所(撮影/集英社オンライン)
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殺人の量刑の下限は検察が求刑した拘禁刑5年以上だが、判決はそれよりも軽く、事情を考慮し裁量で刑を軽くする「酌量減軽」の措置が取られた。

裁判員裁判で行なわれた法廷では、約3年前からB子さんの状態が悪化する中で、地域の福祉や医療が対応できず、必要な支援につながりにくかったとみられる実態が示された。

生まれてすぐに障がいが分かったB子さんは、身体障害者手帳1級を交付され、昨年からはてんかんの発作が頻発し常時付き添いが必要な状態だった。

夫と離婚しシングルマザーのA子被告は、B子さんと2人で暮らし、平日はデイサービスや訪問介護サービスを受けていたが、サービスがない時間帯は食事や排せつなどの介護を1人で長年続けてきた。