ころころ変わる高市「減税論」のいい加減さ

まず首相が掲げてきた飲食料品の消費税ゼロ化について指摘したい。

高市氏は1月19日の記者会見で、物価高対策としての効果を見据え、2年間限定で税率を「ゼロ」にすることを自民党の衆院選公約とする意向を表明した。この時に首相は「ゼロ」が自らの悲願であったとまで言及している。

自民党は2月の衆院選で「飲食料品は、2年間に限り消費税の対象としないことについて、今後『国民会議』において、財源やスケジュールの在り方など、実現に向けた検討を加速します」と公約し、歴史的な大勝をつかんだ。

たしかに選挙後、野党にも呼び掛ける形で「国民会議」はスタートしたが、いつの間にかゴールは「税率1%」にすり替えられてしまったのだ。

2月の総選挙で声高に訴えた「2年間、飲食料品の消費税率ゼロ」はどこへ…(写真/集英社オンライン)
2月の総選挙で声高に訴えた「2年間、飲食料品の消費税率ゼロ」はどこへ…(写真/集英社オンライン)

レジシステム改修などに一定期間がかかるとする高市氏は「十分な負担軽減をいち早く的確な形で届けるため、実現に向けて強い思いをもって取り組んできた」と説明したが、来年4月からの「税率1%」化は首相の言動とは異なるものだ。

そもそも、首相は昨年10月に自民党総裁に選ばれた際の会見で、食料品の消費税率ゼロ化に関し「選択肢として放棄するものではないが、すぐに対応できることを優先したい」と慎重だった。

同12月23日の日経新聞インタビューでは「選択肢としては排除しないが、物価高対策としては即効性がないと判断をした」とも答えている。

市場や事業者にも悪影響を与えかねない

首相や与党の最高責任者に就いた後、政治家が“変節”する例を挙げればキリがない。

だが、それならば高市氏はなぜ消費税ゼロ化に慎重姿勢だったインタビューの約1カ月後の記者会見で「悲願」とまで言ったのか。そして、物価高対策に即効性がないと言っておきながら、今さら「負担軽減」を持ち出したのか解せない。

時の最高権力者が決断を下したのであれば、来年4月から飲食料品の消費税率は「1%」に2年間限定で変更されるのだろう。だが、信頼性という観点から言えば「2年後」に本当に税率を元に戻すことはできるのか不安になる。

その時にインフレが加速していたらどうするつもりなのか。首相の言動がコロコロと変わることは市場や事業者にも悪影響を与えかねない。

骨太ショックについても触れよう。6月に公表された「骨太の方針」原案には何と書いてあったか。