国民みんなが旬のことで生きているわけではない 清春が50代で感じること

――そういう意味では、最近の流行りの曲や音楽シーンとは、かなり距離を置いて見ている感覚なのでしょうか。

清春:「今この人がすごいんですよ」とか、「この番組がすごい人気なんです」「このアニメがどう」とか、よく言われるじゃないですか。でも僕らからすると、関係ないですし、知らないと。

人時:僕は多分、清春さんより知らないですね。

清春:でも音楽をやって生きていける。国民みんなが旬のことで生きているわけでは決してないんですよ。旬の情報で生きているのはごく一部なんです。流行りの曲調も、我々には関係ない、うちのファンにも関係ない。

僕らも昔だったら再生回数や、今でいう登録者数のようなものを気にしていたかもしれないですけどね。でも続けてくると、なくてもできるということがわかる。

――最近のインタビューや発言では、「ライブでこの場所に来るのは最後かもしれない」「黒夢の今後は周年のときだけかも」といった、終わりを意識する言葉も多い印象があります。ただ、実際には黒夢は大きな会場で求められていて、過去最大規模日数のアリーナ公演も控えています。終わりを意識する感覚と、周囲から求められている感覚。そのギャップについてはどう感じていますか。

清春:僕は今回のアリーナも反対していたんですよ(笑)。ただ、昔より明らかに人の意見を取り入れるようになりましたよね。昔なら絶対に取り入れてなかったので。アレンジャーもそうだし、マネージャーもそうだし、お互いについているローディーの意見も取り入れたらいいと思うようになっている。

アリーナ3日間も、Zeppツアーも、ほんとなら絶対にしたくなかったんですから(笑)。でも、やりましょうと言われているのは、幸せなことなんですよね。そこで楽しさを感じてくれている人たちがいるということだと思うので。

それに、僕はまだ当時の黒夢のファンの人たちに全然会い切れていない気がしているんですよ。もう音楽を楽しむ事から離脱してしまった人たち、何処か人生を達観してしまっている人もいると思うんです。音楽が人生に必要ないというか。

でも、もう1本、もう2本ライブがあって、それを知ってくれることがあれば、もしかしたら来てくれるかもしれない。その可能性をわずかに感じながらやっているところはあります。

地方とか行くと、みなさん必死でありながら、どこかで達観しているんですよね。打ち上げをした小さな居酒屋に、何十年も毎日揚げ物をしているような大将がいて、テレビもラジオも接するから「昔聴いてたよ」と言ってくれる。

その人に「大将、ライブ来てよ」とは言えない。土日なんてかき入れ時だし、ライブよりお店の毎日があるわけだから。

ただ、微妙な層もまだいて、もしかしたらライブのことを知らないだけかもしれない。40代でもネットを見ない人はいるし、ライブをしていたら、そういう人に届くかもしれないなって感じますね。

伝説を刻むライブ(カメラ:石井麻木)
伝説を刻むライブ(カメラ:石井麻木)
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#前編「「今回は一緒に作った」黒夢が90年代“超不仲時代”の名盤をリテイク 50代の自分たちにできて、若い世代には“できない”こととは」はこちら

取材・文/ライター神山

◆リリース情報
リテイクアルバム
『CORKSCREW 2026』
『Drug TReatment 2026』
2026年7月15日(水)同時リリース
https://www.yamahamusic.co.jp/s/ymc/search/discography?ima=0000&ct=1&arti=281

◆ライブ情報
【黒夢 THE PERFECT DAYS TO DIE】
2026年7月17日(金)TOYOTA ARENA TOKYO
2026年7月18日(土)TOYOTA ARENA TOKYO
2026年7月19日(日)TOYOTA ARENA TOKYO
2026年9月6日(日)東京GARDEN THEATER
https://kuroyume.tokyo/information/the-perfect-days-to-die/