ラルクがもたらした新たな日本バンド文化

3月31日放送の音楽番組『関ジャム完全燃SHOW』(テレビ朝日系)では、ロックバンド、L’Arc~en~Ciel(ラルク・アン・シエル)が特集される。ラルクがこれまで音楽シーンにどんな影響をもたらしたのか、振り返っていきたい。

1991年に、ベースでリーダーのtetsuyaがボーカルのhydeに熱烈なラブコールを送ったことをきっかけに、関西で結成されたラルク。その後、細かなメンバーの入れ替わりはありながら、この2人と、ギターのken、ドラムのsakuraの4人でバンドとしてのかたちがまとまり、1993年に1stアルバム『DUNE』をインディーズで発売。このアルバムがいきなり、日本の音楽シーンに多大な影響をもたらした。

1stアルバム『DUNE』(通販限定 初回限定盤)
1stアルバム『DUNE』(通販限定 初回限定盤)
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古今東西の名盤1枚をピックアップして語り尽くすYouTube番組「名盤ラジオ」を運営する、タクヤさん、エヌゾーさん、ヒデキさんの3人は、『DUNE』について、「ファーストアルバムにして最高傑作」とも評する。

ゴシックで幻想的、まるで小説や絵本を読んでいるかのような没入感のあるアルバム『DUNE』。海外バンドの影響を感じながらも、後発だからこそできる完成度の高さが圧巻。今や、この路線でこれ以上の音が出せるアルバムは日本はおろか、世界にだってそうそうない。LUNA SEAの3rdアルバム『EDEN』とともに、当時の日本バンド界に漂っていた、“洋楽コンプレックス”を打ち砕いてくれた歴史的な1作品だという。

1996年にリリース 4th『True』
1996年にリリース 4th『True』

これを皮切りに、ラルクは日本音楽シーンに絶大な影響をもたらしていった。

「初期のラルクはX JAPANやLUNA SEAなど、当時のバンドシーンの中心だったエクスタシー系にあった暴走族文化のニオイがしない、新しい文化のバンドという印象でした。そして、90年代後半から2000年代前半にかけての“売り方”の部分が音楽業界に与えた影響はすごく大きい。シングル3枚(『HONEY』『花葬』『浸食 〜lose control〜』)同時リリースや、2週連続リリースなど、初めてこのタイプのロックバンドが“売れるための戦略”を取って、実際に大成功しました。音楽性のみならず、こういったバラエティに富んだ手法も後のバンドに影響を与えている部分だと思います。


「HONEY」「花葬」「浸食」が収録された非売品のプロモーションCD

「HONEY」「花葬」「浸食」が収録された非売品のプロモーションCD

もちろん、音楽性については、『神秘的で幻想的な雰囲気をまとって、日本人の琴線に触れる歌謡曲的な抒情性の高いメロディを有していて、非現実的ながらも映像的な、情景を描き出すような歌詞を歌う…』みたいな初期のラルクを形容する言葉は、まさにV系の雛形になっていますね。本人たちがどう思っているかは別として…。

また、日本のバンドはスターとそれ以外みたいに、メンバーのキャラクターがハッキリ分かれたバンドがほとんどだったけど、ラルクは全員がスタープレイヤーってところも衝撃でした。どの楽器に興味を持った人にも演奏してみたいと思わせるというのは、広く音楽界に対する大きい影響だと思います。この辺りは、LUNA SEAとも共通していますね」(タクヤ、エヌゾー、ヒデキ)

ラルク加入前のyukihiro(『DIE IN CRIES』の4thアルバム「Eros」)
ラルク加入前のyukihiro(『DIE IN CRIES』の4thアルバム「Eros」)