22回の視察のうち、報告書がHPで公開されているのは2回

目を引くのは、これだけの公金を費やした視察の成果を県民に伝える報告書がほとんど作成されていないとみられることだ。

「22回の視察のうち、報告書が議会事務局のHPで公開されているのは2回だけ。しかもそのうち1回分の中国視察のものは、別の財団法人などのHPをコピペした内容が含まれていることが発覚し、6月になって議会事務局は公開を取りやめました。

議会事務局は別に2回分の報告書を共産党に開示していますが、この4件以外の視察については報告書が作られてもいない可能性があります」(県関係者)

ハワイのビーチ(写真/PhotoAC)
ハワイのビーチ(写真/PhotoAC)

会見で蔵内議長は費用が高いことを認める一方で、

「我々からどこに泊まりたい、どのホテルがいいとかは一切申し上げることはございません」

と弁明。視察には意義があると強調しようとしたときには、

「私は海外旅行は続けます。この考え、一切変わることはございません」

と開き直った。これを聞いた関係者が「“旅行”とおっしゃいました」と耳に入れると、蔵内議長は苦笑いしながら、

「あ、すいません。海外旅行じゃなくて海外活動です」

と訂正した。

だが、これまでの海外視察に県民に還元できる成果が本当にあったのかと疑問視する声は尽きない。

実は22回の海外視察に1回でも参加したのは、現職県議87人のうち24人と辞職した2人の計26人だけ。蔵内議長が12回参加するなど特定の議員が繰り返し外遊する一方で、7割超の議員は一度も視察に加わっていない。その理由を県議会関係者が解説する。

「視察に参加できるメンバーは決まっているようです。最大会派自民党と立憲民主・国民民主系の『民主県政県議団』、保守系の『新政会』、さらに公明党の4会派だけ。しかも当選2回以上の人に限られます。

視察は形だけ参加希望者を募りますが、訪問目的などは抽象的に書かれ、何をしに行くのかもよくわかりません。視察でどのような知見を得られるかもわからず、参加するかどうかを判断する材料も“インナー”の議員以外は持たされない状態です。そうやって事実上、参加できる議員とそうでない議員に分けられるのです」(議会関係者)

2025年11月のパリ視察(福岡県議会HP)
2025年11月のパリ視察(福岡県議会HP)

主要4会派による視察システムの“頂点”にいると言ってもいい蔵内議長の影響力は議会にとどまらない。

「今の服部誠太郎県知事は県庁生え抜きのプロパーで副知事まで上り詰め、知事になった人です。県職員時代から蔵内氏との良好な関係は有名で、力関係で知事に勝るとみられる蔵内議長が事実上、県で一番の実力者です」(県関係者)