ウクライナドローン、国家のインフラ・財布そのものに打撃
これは戦術ではなく、戦略の次元で効いている。ロシア領内深部への攻撃回数は、2022年から2024年の3年間で335回だったものが、2025年単年で658回へ倍増した。狙いは石油精製所と輸出港という、戦争を支える国家のインフラ、財布そのものに打撃を受けている。
ウクライナ軍は賢い。一度叩いた施設を、修理の真っ最中にもう一度叩く。トゥアプセ製油所で実証されたこの「反復攻撃」によって、稼働停止は致命的に長期化してしまっているようだ。
2026年春の時点で、ロシア全土の石油精製能力の約20%が破壊または損傷を受けた。原油処理量は過去16年で最低水準まで落ち込んでいる。西部の主要輸出港3カ所が同時に標的となった数週間で、ロシアは10億ドル超の石油収入を失った。
西側の金融制裁が数年がかりで進めようとしたことを、ドローンは数週間でやってのける。私はこれを「動的制裁」と呼ぶのが最も的を射ていると考える。
しかも皮肉なことに、国内の燃料パニックを抑えるための補助金「燃料ダンパー」が財政を二重に圧迫する。2026年4月のその支払いは、同年1月の石油・ガス収入全体の半分以上に相当した。
輸出で稼げず、国内を鎮めるために残った財源を食いつぶす。出血しながら止血剤を買い続ける構図だ。
財政の破綻が、最も残酷な形で地方を直撃
この財政の破綻が、最も残酷な形で地方を直撃した。2025年12月から2026年1月にかけ、ロシア全土で少なくとも2270件の大規模インフラ事故が報告された。1月だけで1788件と、前年同月の倍近い。
電力網の崩壊、暖房停止、断水が一度に襲う複合災害である。北極圏ムルマンスクでは設置から40年以上経った送電塔5本が倒れ、数千人が氷点下で4日間電気も暖房も失った。応急の木製ポールはわずか数日で再び故障した。
崩壊は天災ではない。国家予算がGDPの約8%という軍事費に極端に偏り、公共事業が意図的に切り捨てられた必然の結果だ。インフラの平均損耗率はすでに40%、抜本修復には4.5兆ルーブルが必要とされる。
にもかかわらず、政府は住宅・公共事業向け予算を2026年から2027年にかけて大幅削減する計画を立てている。そのうえで、9月の議会選挙が終わった直後の10月に、公共料金を20%以上引き上げる。暖房も電気もまともに来ないのに請求書だけが届いているわけだ。













