「『補助輪』としてAIを活用することには、非常に大きな可能性があります」
AI時代における寺院や僧侶の役割が問い直される中、寺院の現場では、最新技術を取り入れる動きもみられる。
愛知県名古屋市の真宗大谷派正蓮寺では、AIによる案内係「AI住職」など、デジタル技術を積極的に導入している。その一つが、AI(Gemini)を活用した、生前法名や故人の法名について多角的に見つめ直すための支援ツールだ。
このツールには、その人の人柄や想いのキーワードからふさわしい漢字との縁を紡ぐ「一字法縁」、使いたい一字(名前)から具体的な法名の形を検討する「法名検討アプリ」、法名に込められた仏教的な深い意味合いをAIが紐解く「法名解析アプリ」の3つのプロセスが用意されている。
アプリを開発した同寺の大矢貴洋住職は、「人が主体となって故人や自身の人生と向き合うための『補助輪』としてAIを活用することには、非常に大きな可能性がある」としたうえで、法名支援ツールについてこう説明する。
「これらは、遺された家族が故人の生前の面影を手がかりに、その人生を温かく振り返り、法名の意味を深く味わう時間をテクノロジーがそっとお手伝いするものであり、現代における新しい『仏縁』の形だと実感しています」
一方で、AIだけで完結させてしまうことにはリスクもあると指摘する。
「どれほどAIが綺麗で論理的な名前や解説を提案したとしても、そこに『深く、優しく悩む人間の心』が介在していなければ、それは空虚な文字列に過ぎません。
最終的に、ご家族やお寺が一緒になって『あの人らしい漢字はなんだろう』と考え抜き、お寺から手渡しで授与される。その『人と人との繋がり(プロセスの物語)』こそが本質であり、テクノロジーに全てを委ねて自動化・効率化してしまってはならない境界線だと考えております」













