「人間の僧侶にしか担えない領域は明確に存在します」

こうした議論が生まれる背景には、現代の葬儀を取り巻く環境の変化がある。

「葬儀が簡素化される中で、地域社会やお寺との繋がりが希薄になり、戒名が単なる『死後の形式的な名前』『高額な出費』と誤解されやすくなっていると感じます。

その結果、『形式的なものならAIが作った無料の文字列で十分だ』という価値観が生まれるのは、ある意味で必然かもしれません。

しかし、葬儀の形式がどれほど簡素化されても、大切な人を失ったご遺族の悲嘆の深さや、『安らかに眠ってほしい』という願いの重さは変わりません。

戒名の本質が軽視されがちな現状は、私たち僧侶が『寺とは何か?』『僧侶とは?』『戒名の本当の意義』を現代社会に十分に伝えきれてこなかった結果でもあり、深く反省し、改めて真摯に発信していく必要があると感じています」(三浦住職)

写真はイメージです(写真/PhotoAC)
写真はイメージです(写真/PhotoAC)

では、AI時代において僧侶に求められる役割とは何か。

三浦住職は、「仏教を身近にするための『優秀なアシスタント』」としてのAI活用は大いに進む」としつつ、「人間の僧侶にしか担えない領域は明確に存在する」という。

「先日、私が理事長を務めるNPO法人かけこみ相談センターの会議でもまさにこの話題が出ました。近年、悩み事を人ではなくAIに相談する若者が増えています。AIは的確な回答を提示し、決して相談者を否定しません。

しかし、その『否定しない回答』によって、かえって若者の思考が自死などの誤った方向へ進んでしまう危険性が議論されました。

その会議での結論は、『本当の救いというものは、人間の温かさが伝わることである』というものでした。

ご遺族のやり場のない怒りや悲しみを受け止め、迷いに寄り添い、御霊の安寧を人間としての全霊をかけて祈るという『魂の救済』は、血の通った人間にしか決して担えないものだと確信しております」