なぜ「認めていません」と答弁したのか
実は、高市事務所所長の木下氏は、3月頭からサナエトークン問題を取材していた筆者と「週刊現代」の取材に対して、繰り返し接点を認めてきたのである。
木下氏は3月10日に「松井氏が(総裁選のSNS対策を)勝手連で支援していただいたことは認識していますが、選対として行なっていた事実はありません」と回答。
さらに、週刊文春の報道後の5月20日には、「高市事務所では、松井氏のアカウントを承知しておらず、活動の具体的な内容は一切承知しておりません。当然、松井氏が選対のメンバーという事実もありません」と説明していた。
つまり、総裁選における松井氏が勝手連として高市陣営の支援をしていたことは知っていたが、活動の詳細は把握していなかったという主張である。
言うまでもなく、松井氏と「接点」がない限り、「支援を認識」することは不可能だろう。
さらに、3月23日付の回答書では、メッセージアプリ「LINE」を通じて、松井氏とやりとりしていたことも明らかにした。
〈NoBorder社より、『Japan is Back』という勝手連での高市早苗応援団企画をしたいという相談は昨年末より受けておりました。『Japan is Back プロジェクト』に関するグループLINE内に松井氏はメンバーとして入っていました〉と説明していた。
木下氏からは「週刊文春」で松井氏が告発したZOOM会議についても、説明があった。
4月3日付の回答書で、「12月17日のオンライン会議は、NoBorder側からの求めに応じて行なったもの。
NoBorder側の取り組みとして、国民の政治に対する声を集める『ブロードリスニング』に関する企画について話を聞いた」と答えていた。
無論、オンライン会合をともにした相手を、「接点がなかった」と言えるはずはない。
こうした正式回答があるにもかかわらず、なぜ高市総理は「(接点を)認めていません」という、虚偽答弁の可能性が指摘される答弁をしてしまったのか?
自民党の副大臣経験者はこう見ている。
「総務大臣時代から高市総理の答弁はたびたび国会で問題になってきました。
率直に認めるべき点は認める、説明すべきは説明するという対応をすれば乗り切れる問題であっても、高市総理が感情的にムキになって答弁することで、騒動が大きくなってしまう。そして、答弁自体が問題化するというパターンです。
世襲でもなく、叩き上げで、男性社会の永田町で生きてきた高市総理は、目いっぱい気を張っている。
歴代総理と比べて、官僚のレクを重視せず、一人で抱え込む。そうした余裕がないところが、危機管理上、裏目に出てしまっています」
ここにきて、松井氏が共同通信のインタビューに応じるなど、騒動は収まる気配がない。
「松井氏を巡っては、過去の複数の投資トラブルが報じられている人物でもある。松井氏の高市事務所への“貢献”がどれくらいのものだったかについては疑義もある。
高市総理も、具体的な説明をしない限り、彼のペースで議論が進んでいってしまうでしょう」(前出・松井氏の知人)
国家情報局の設置など、高市政権はインテリジェンス(情報分析・情報収集)強化を掲げる。だが、いままさに問われているのは、高市総理自身の危機管理能力である。
取材・文/河野嘉誠 集英社オンライン編集部ニュース班














