基地反対を叫ぶイデオロギー闘争の陰で…沖縄が抱える本当の危機

報道によると「一連の内容は教育基本法が禁じる政治的活動に該当しかねないと文科省は判断」(産経新聞)したといい、文科省が学校法人同志社の調査に乗り出しています。

辺野古の美しい海だけを見せて「基地建設はけしからん、自然破壊だ」などと感情的に煽り、危険な海上の抗議現場に人々を動員したというようなことはなかったのでしょうか。

真に沖縄の未来を考えるのであれば、「普天間基地が市街地のど真ん中にあることの異常な危険性」を現場で見せ、その危険を現実的に除去するための苦渋の選択として辺野古移設があるという「複雑で重い現実」を客観的に認識させるべきかもしれません。

もし、バイアスのかかった一方的なイデオロギーだけで人々を煽り、危険な抗議活動の現場へ動員するような振る舞いを行ったのであれば、ポピュリズムの最たるものであり、無責任極まりないと言わざるを得ません。

基地反対を叫ぶイデオロギー闘争の陰で、沖縄が抱える「本当の危機」が放置されています。それは深刻な貧困問題と、経済的自立の欠如です。

沖縄に必要なのは徹底した住宅政策だ

現在、沖縄では外資系企業による高級リゾートホテルの建設ラッシュが続いています。私は経済学者として、外資の参入そのものを「外資の搾取だ」などと頭ごなしに否定するつもりは毛頭ありません。

外資が入ることで新たな雇用が創出され、地元の人々に高い賃金が支払われるのであれば、それはいわば「ウインブルドン現象」であり歓迎すべきプラスの側面を持ちます。しかし、それ「だけ」に依存していては不十分なのです。

外資系企業による高級リゾートホテルの建設ラッシュが続く沖縄
外資系企業による高級リゾートホテルの建設ラッシュが続く沖縄

問題は、観光で生み出された莫大な利益の大半が県外や海外へと吸い上げられ、沖縄の地元に新たな産業や強固な資産として蓄積されない構造にあります。これでは、県民全体の生活水準を根本から押し上げることはできません。

かつて、沖縄の政治家である下地幹郎氏と議論した際、私は「トマ・ピケティの理論に対する反論(あるいは応用)として、沖縄に必要なのは徹底した住宅政策だ」と進言したことがあります。

ピケティが指摘するまでもなく、経済格差の根本には「資産の格差」があります。沖縄県民の所得を上げるだけでなく、県民が自らの資産(優良な住宅や不動産)を持てるような政策を強力に打たなければ、格差は永遠に固定化します。