「代表チームはほとんどMLB所属が理想」

世界を知る松田の目は、いつしか日本代表のあるべき姿へと発展していく。だからね――そう繋いでから、想いを吐く。

「日本人もサッカーと同じようにどんどん世界を目指してね。代表チームのほとんどがメジャーに所属しているっていうふうにしていかないとダメだと思います」

有能な日本人選手がアメリカへ渡ることで、一部で「日本野球の空洞化」が指摘されるが、松田の意見はどちらかといえば真逆だ。

メジャーリーグという道は、日本野球の可能性でもある。ひとり、またひとりとレベルの高い環境に身を置くことで、国内の選手も「次は自分が」とさらなる研鑽を積むようになる。

仮に中学や高校、大学から海を渡ったとしても母国の誇りが消えるわけではないし、同じ志を持つ国内で腕を磨く選手も、底上げの担い手になるはずだ。

それはつまり、強固なナショナルチームの運営にも結び付いていく。

ベネズエラの初優勝で幕を閉じた今回のWBCは、日本において「世界が本気になった大会」と位置付けられている。

故障歴や前のシーズンで負傷者リストに入っていないなど、怪我のリスクが「低い」と評価されれば、以前よりも保険の対象内となるケースが増えたこともある。そういった背景も後押しとなり、各国の選手にとってもWBCは「出なくていい」から「出たい」と意欲的に出場できる大会になった。

それはライバルである松田にとっても、喜ぶべき風潮なのだと言葉を弾ませる。

「日本だけじゃなくてね、母国の誇りっていうのはみんな持ってますから。どの国で野球をしていようとも、WBCに出られる以上は国を背負って戦いたいって思うのは当然で。大会の回数が重なるにつれ、アメリカでも認知されるようになったし、それが『本気にさせた』っていう要因だと思いますけどね」

前回大会でアメリカとの決勝戦を前に、大谷が「憧れるのをやめましょう」とチームの士気を高め、世界一へのブーストとなった。

この精神は今こそ試させるべきなのだ。

フィジカルをはじめとする力で圧倒され、日本はベネズエラに敗れた。やっぱりメジャーリーガーは違う。

そうではない。

これまで松田が述べたように、根本から自分を見つめ直して世界と対等に渡り合える準備に励む。それがやがて、メジャーリーガーが多く名を連ねるような日本代表という未来へと繋がるのである。

本物のつわものたちで覇権を争う––––松田はそんなWBCを待ち望んでいる。

文/田口元義