演劇のこれから
大石 ここまで話してきて、蓮見さんって演劇全体のことを考えていらっしゃるんだなって思いました。
蓮見 お笑いは関われるだけで満足ですけど、演劇はこの際だから背負おうと思ってますよ。だって嫌ですもん。自分がやってるものが偉そうにしていてダサいのは。まあ、正直言うとこうして目立ってるよりも、変化球的な存在でいたいっていうのはあるんですけど。
大石 そうですね。王道に対するカウンター的な存在というか。
蓮見 けど、今回の受賞でもしかすると王道に乗ってく可能性が出てきた。とはいえ、現状のままだと、ダダルズとダウが有名になることはあっても、演劇界自体は変わらないと思うんですよね。同じような存在が、同時多発的に何組か出てこないと盛り上がらない。
全体の燃料が足りないっていうか、演劇の世界に違和感を覚えている人はいても、声の大きい人が誰もいないじゃないですか。
大石 確かに。そういうなかで、演劇もお笑いをまたいで活動してて、知名度と発信力のある蓮見さんが背負わされすぎている気がします。
それにやっぱり、私と蓮見さんとでは立っている場所が違って、今回私が受賞したことで演劇の可能性が途端に拡がったり、逆に私自身の表現が拡張されるようなこともないと思うんです。むしろ、この岸田賞っていう権威?に触れたことによって、自分の視野を狭めてしまうかもしれない。
蓮見 そうなったら本末転倒ですもんね。
大石 そもそも私自身、いま自分がやっている表現は演劇なんだろうか、っていう問いがずっとあるんです。演劇の界隈に身を置いてはいるけど、それも突き詰めたら自分にとって都合がいいからという理由しかないんじゃないかと思います。演劇の受け皿の広さを利用しているというか。
なのに正直、自分がやっていることを演劇だって括られたくもない。もちろん、自分でもすごくせこいと思うし、嫌な感じだとも思う。ダダルズのお客さんの多くは演劇好きだろうし、今まで演劇をやってきた人たちの恩恵を受けてることもわかってるので。……大丈夫ですかね、こんなこと言って。
蓮見 いや、いいんですよ。演劇について思っていることは全部、いま言うべきです。
大石 蓮見さん、さっきから目が怖いですよ(笑)。だから、演劇だとははっきり名乗らずに、演劇という手段を使うことができたら一番いいのかなって。いや、やっぱせこいな。
蓮見 でも、確かに大石さんの表現はそのやり方がいいかもしれない。
大石 同時に、できるだけ演劇の枠に収まらない活動もやっていったほうがいいんじゃないかなって思ってます。














