「流行ってないのに偉そうにするのはやめましょうよ」

――大石さんの主宰するダダルズはご自身による一人芝居と漫談を往還するようなスタイルで、蓮見さん率いるダウ90000は演劇とコントの間を突っ走っていくスタイルが特徴的ですよね。おふたりは演劇界において、それぞれ特異なポジションにいらっしゃるなと感じています。蓮見さんはお笑いのフィールドでも活動されていますしね。

蓮見 まあ、少なくとも王道ではないですよね。けど今回の受賞で、胸張って演劇人ヅラできるようになったので、思ってることは全部言ってこうかなって(笑)。自分たちのためだけじゃなくて、僕らの考えや発言が全体のためになるはずだとも思うんです。

それこそ今の演劇界全体に対して感じてるのは、これもいろんなとこで言ってますけど、流行ってないのにお高く止まって偉そうにするのはやめましょうよっていうことで。

大石 偉そうにしてますか?

蓮見 してますよ。してますとも。岸田戯曲賞にしたって、一番売れてる劇作家が受賞すればいいのになってずっと思ってたんです。4年前かな、初めてノミネートされた年に同じく最終候補だった加藤シゲアキさん、絶対受賞してほしかったですもん。

多方面で活躍されてて、知名度があって、圧倒的な集客もある。そういう方がちゃんと受賞したら、岸田賞自体の認知も広まるじゃないですか。そうやって演劇を盛り上げるための賞にしていかないと、演劇人みんなご飯が食べられなくなって、演劇に夢を見れなくなる。やがて志す人もいなくなっちゃいますよ。

大石 さみしい話です。

大阪府出身。2018年に演劇ユニット「ダダルズ」を旗揚げ。23年から作・演出・出演を自身で担う形式の作品を発表。岸田賞受賞作『よだれ観覧車』の戯曲が5月18日発売予定
大阪府出身。2018年に演劇ユニット「ダダルズ」を旗揚げ。23年から作・演出・出演を自身で担う形式の作品を発表。岸田賞受賞作『よだれ観覧車』の戯曲が5月18日発売予定
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蓮見 でも、こういう意見ってダサいんでしょうね。

大石 う~ん、ダサいのかな。

蓮見 当然、岸田賞には岸田賞なりの守るべきスタンスがあるわけだから、もちろんそれを貫くのはカッコいいと思いますよ。70年ぐらいの長い歴史の中で、三谷幸喜さん、松尾スズキさん、宮藤官九郎さんといった憧れの先輩も受賞されてますし。

でも過去の選評を読んでみたりすると、選考する側がいつもなんだか妙に偉そうで、それこそ権威にすがってる印象がしたんですよね。てか、知ってます? 岸田賞の第一回って「該当作なし」なんですよ。

大石 え、初回から!

蓮見 幸先悪いじゃないですか。その年はなかったことにして、翌年仕切り直したほうがすっきりするのに(笑)。

自分は過去に二度、「テーマがない」ことを理由に落とされてて。テーマなんて劇場で観客の一人ひとりが見つけたらいいものだと思うんですけど、でも今回の『ロマンス』は入れたんですよ、テーマを。どうしても獲りたかったんで。だから僕はある意味、傾向と対策で受賞したっていうか。