だが期待はいずれ現実に収束する
その前提が崩れれば、資金フローの逆回転は一気に加速する。
いまの市場は強いのではない。強く見えているだけだ。その裏で通貨価値の低下というコストが蓄積している。
これは市場の話ではない。身体の話だ。歪みは放置すればやがてえぐれ、最後には大手術を必要とする。いまはまだ整えられるのか、それともすでにえぐれ始めているのか。この認識を誤れば代償は大きい。
だからこそ、いま必要なのは極めて現実的なメッセージである。守る局面だという認識だ。電気代は上がる。食費は上がる。輸入品は上がる。その前提に立てば、節約し、キャッシュフローを守るしかない。
いまこそ、生活を守るために支出を見直し、無理のない範囲で将来への備え、例えば積立投資などに資金を振り向けるという発想も重要になる。ただし、それは楽観ではない。守りながら備えるという現実的な戦略である。
市場はそれでも上昇を続ける。だが期待はいずれ現実に収束する。そしてその瞬間に逆回転が起きる。
皆が同じ方向を見たとき、相場は裏切る。
誰もが「円安は止まらない」「株はまだ上がる」「強い政権は揺るがない」と信じ切った瞬間に、最も大きな修正が始まる。市場は常に少数派が勝つ。これは格言ではない。構造的な真理である。
問われているのは、いま整えるのか、それとも壊れてから切るのかという一点だ。
すでに選択の時間は始まっている。そして本当に世界を動かしているのは、ミサイルでも核でもない。
原油と通貨である。それが動いたとき、すべては逆回転する。
文/木戸次郎













