「私だけ時間が止まっているような、そんな気持ちです」
しかし、教育長はそんなA子さんの訴えに対し、「日本全国いじめはずっとなくならない」と発言。この言葉にショックを受けたA子さんは号泣し、過呼吸に陥った。
当時の心境を、A子さんが振り返る。
「悪口を言われて辛いと話しても、『(加害者の)会話はコントロールできない』とか、『向こうがあなたを悪いと思っているとしたら、どうしたらいい?』と言われてしまって、加害児童に指導しようという気持ちは全くないように思えました。
そのうえ、『いじめはなくならない』と言われてしまって……気づいたら大泣きしていました」
母親もこう語る。
「確かに、いじめをなくすことは難しいでしょう。しかしそれがいかに正論でも、いじめに苦しみ、助けを求める子どもに言うべき言葉ではないはずです」
教育長の一連の対応を不適切と感じたA子さんの保護者は、24年7月に行われた「市長と語る会」の場で、藤井栄一郎市長にこれについて直訴。
だが、教育長の不適切な発言が録音に残っていることを伝えると、市長は「それはダメだよ! 教育長の人権はどうなるの?」と怒鳴り声を上げ公開を阻止したという。
こうした対応を受け、保護者は、24年9月、市に対し再調査と謝罪を求めた調停申し立てを行なったが、いずれも拒否され、不成立に終わっている。
今年2月、A子さんの保護者はA子さんと教育長の面会時の音声をSNS上で公開。瞬く間に拡散し、波紋を呼んでいる。
音声を公開した理由を、保護者はこう語る。
「いじめ認定後の対応が不適切だったために、いじめられた被害者が報われない。こうした実態を訴えることで、少しでも社会を変えていけたらと願っています。それが本人の笑顔を取り戻すことにもつながるのかなと思ってます」
白岡市の教育委員会指導課に、報告書提出後の一連の教育長の対応について尋ねたところ、「市としては当該報告書の内容に基づき、必要な対応を行っております。なお、個別の児童・生徒に関する具体的な指導・支援の内容については 、 児童および関係者のプライバシー保護の観点から、回答を差し控えさせていただきます」と回答。
A子さんとの面会については、「2024年3月29日、被害生徒の保護者及び当該中学校長同席のもと、面会を行いました」と認めたが、そこでの教育長の発言とSNS上に公開された音声については、「インターネット上で流布している音声データや動画等につきましては、その作成経緯や編集の有無等が不明であるため、当市として個別にコメントすることは差し控えさせていただきます」とした。
また、A子さんと保護者が再調査を求めていることについて見解を求めると、「いじめ防止対策推進法に基づく地方公共団体の長による調査(いわゆる再調査)を行うかについては、これまで市長部局として、関係各所へのヒアリング等を行い判断しております」との回答だった。
A子さんは現在高校2年生。事件から約4年が経ち、少しずつ前を向いているが、傷が癒えたわけではない。今も適応障害の治療のため、2か月に1回、病院に通っている。
「夜とかにいじめのことを思い出して辛くなったり、勝手に涙が出てきたりしてしまうことはまだ多いです。
もし、いじめがなかったら、今も小学校の友達と遊んでいるのかなとか、考えてしまうこともあります。みんなと離れ離れになってしまって、私だけ時間が止まっているような、そんな気持ちです」
保護者は引き続き、市に対し、再調査と謝罪を求めていくつもりだという。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班













