最も警戒すべきは、このタイミング
さらに問題なのは、日本の政策対応である。日銀は利上げを示唆しながらも、すでに2度にわたり実行を見送っている。この時点で市場は、「やると言ってもやらない」という前提を織り込み始めている。仮に0.25%の利上げが実施されたとしても、その効果は瞬時に吸収されてしまう可能性が高い。
そして最も警戒すべきは、利上げをしてもなお円安が止まらない局面である。これは通貨に対する信認そのものが揺らいでいる状態を意味する。政策金利を引き上げても資金が戻らないのであれば、それは金利差の問題ではなく、日本という通貨圏そのものに対する評価が変わってしまったということだ。
この構図の中で起きる株価の上昇は、極めて脆い。価格は戻っても、その土台となる通貨とコスト構造が崩れたままだからだ。市場は一度安心すると、その裏で進行する悪化を見ないふりをする。しかし、無視された現実は消えない。それは必ず、より大きな形となって逆回転を始める。
ここまで読み進めてきた読者の多くは、すでにこう考えているはずだ。それでも、いずれ反発は訪れるのだろう、と。確かに、その通りである。
だが、その認識こそが落とし穴になる。
これからの反発こそが、その前触れに過ぎない。
市場は常に少数派が勝つ。誰もが「もう大丈夫だ」と思った瞬間に、次のリスクは芽を出す。そして、誰もが「押し目だ」と信じて疑わない限り、それは本当の買い場にはならない。
本当の買いのシグナルは、安心の中にはない。むしろ、誰もが市場から目を背け、株など見たくもないと思った、その瞬間にしか訪れない。
今回の反発がその地点なのか、それともその手前の錯覚に過ぎないのか……。その見極めこそが、いま問われている。
文/木戸次郎 写真/shutterstock













