政権を支えてきたコアな支持層の間で不満か

誤解を恐れずに言えば、筆者は高市首相が強力なリーダーシップを発揮して諸課題を乗り越え、長期政権を築いてもらいたいと期待するものだ。その最たる理由は、頻繁に内閣総理大臣が交代する日本の「悪しき政局」は国益を損ねるリスクであると感じる点にある。

もちろん、思想・信条や政策の方向性に異を唱える人々は少なくないだろうが、国家として考えた場合にトップリーダーがコロコロ代わるような事態は避けるべきと考える。

ただ、高市内閣の先行きが気がかりなのは、政権を支えてきたコアな支持層の間で不満が広がっているように映る点にある。言い換えれば、保守政治家を代表してきた高市氏が首相就任後は「現実路線」に舵を切るシーンが目立ち、大きな期待が「不満」や「苛立ち」に変わりつつあると感じてしまう。

2月の総選挙で声高に訴えた「2年間、飲食料品の消費税率ゼロ」はどこへ…(写真/集英社オンライン)
2月の総選挙で声高に訴えた「2年間、飲食料品の消費税率ゼロ」はどこへ…(写真/集英社オンライン)

これは「期待が大きすぎた政権」の宿命とも言える構図だが、これから状況を一変させるようなシナリオを高市内閣が持ち合わせているとは思えない。

憲法改正に本気で取り組むつもりがあるのか不安視

歴代政権が踏み込めなかった政策転換や大胆な決断が首相に期待されていたはずなのに、いつの間にか「現実路線」に修正されている状況はコアな支持層からすれば「物足りなさ」を感じるのではないか。

内閣総理大臣就任前は、保守層の歓心を買うようなフレーズを次々に発し、トップへの階段を登ってきた高市氏だけに「支持率の反動減」はある日を境に大きなうねりとなるような気がしてしまう。

消費税減税への取り組み、国民生活を下支えする物価高対策の規模やスピード感といった政策にかかわるものだけでなく、それは「政治家・高市早苗」そのものに向けられるものだ。

象徴的なのは、憲法改正への取り組みだ。高市首相は2月20日の施政方針演説で「国会における発議が早期に実現されることを期待する」と述べている。

憲法改正は衆参両院で総議員の3分の2以上の賛成で発議が可能となる。現在の国会における勢力は自民党が衆院で3分の2を占めるものの、参院では改憲に前向きと言える野党を加えても数議席は足りない。無所属議員の動向がカギを握ることになる。

首相は「憲法改正にしっかりと挑戦する」「実現に向けて力強く取り組みを進めていかなければいけない」などと言葉を繰り返すものの、首相の「岩盤支持層」といわれる保守層からは憲法改正に本気で取り組むつもりがあるのか不安視する向きもある。