メリットばかりではない“推し活マーケ”の問題点

しかし、プロ野球の推し活化には危険性も潜んでいる。推しへの愛情が重くなりすぎてしまう点だ。

2024年7月に読売ジャイアンツ所属の選手に対して「死刑にする」などと掲示板に書き込んだ20代の生命保険会社元社員が威力業務妨害容疑で逮捕された。

昨年5月の初公判では、移籍で加入した選手に推しの選手がポジションを奪われてしまい、移籍加入してきた選手への恨みを一方的に募らせていた様子が明らかになった。勤務していた保険会社で撮影した選手の顧客情報とともに、掲示板に殺害予告の投稿をするまでに発展していたという。

プロ野球は試合での実績がすべての厳しい世界だ。当然、運や偶然の要素も絡んでくる。選手がアイドル化したまま不調に陥ってしまうと、熱狂的なファンは外部にその矛先を向けかねない。一方的に恨みを募らせる可能性があるのだ。

プロ野球のファン層の細分化で推し活化が進むのは間違いなさそうだが、ファンとの距離感を上手く図る舵取りが求められる時代になっている。

プロ野球の上手な推し活について考察したマーケ本(『幸福感に満たされたいなら阪神ファンを知りましょう』書影)
プロ野球の上手な推し活について考察したマーケ本(『幸福感に満たされたいなら阪神ファンを知りましょう』書影)
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文/不破聡

労組日本プロ野球選手会をつくった男たち
木村 元彦
労組日本プロ野球選手会をつくった男たち
2025/11/6
2,200円(税込)
240ページ
ISBN: 978-4797674712

初代会長の中畑清、FA制度導入の立役者・岡田彰布、球界再編問題で奮闘した古田敦也、東日本大震災時に開幕延期を訴えた新井貴浩、現会長の曾澤翼など歴代選手会長に聞く、日本プロ野球選手会の存在意義とは。

今から40年前の1985年11月に設立された「労働組合日本プロ野球選手会」。
一見、華やかに見える日本プロ野球の世界だが、かつての選手たちにはまともな権利が与えられておらず、球団側から一方的に「搾取」される状態が続いていた。そうした状況に風穴をあけたのが「労働組合日本プロ野球選手会」であった。大谷翔平選手がメジャーリーグで活躍する背景には、彼自身の圧倒的な才能・努力があるのは言うまでもないが、それを制度面で支えた日本プロ野球選手会の存在も忘れてはならない。
選手たちはいかに団結して、権利を獲得していったのか。当時、日本プロ野球の中心選手として活躍しながら、球界のために奮闘した人物や、それを支えた周りの人々に取材したスポーツ・ノンフィクション。

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