価格高騰の背景にある「3つの要因」とは
保護者を悩ませる卒業アルバム制作。制作現場では何が起きているのか。卒業・卒園アルバムに特化して制作を行なうある会社の担当者は業界の現状をこう説明する。
「価格上昇、教員の負担増、個人情報の漏えいリスクの増大、そして性的ディープフェイクへの悪用、これらが同時に進行している状況と言えます」
このように前置きしたうえで、価格高騰の背景にある3つの要因を挙げた。
「第一に紙そのものの値上がりです。原燃料費や物流コスト、人手不足に伴う労務費の上昇、さらには設備維持や環境対応への投資増加が理由です。
第二に、少部数化による単価の上昇です。卒業生数が減ると、紙のアルバムは固定費を割る冊数が減るため、どうしても1冊あたりの単価が高くなる。いくつかの調査によれば、小学校の場合で1万円台前半が平均のようですが、中には卒業生18人の公立小で1冊約3万8000円になったという極端な事例もあります。少子化が事業構造そのものに影響しているといえます。
第三に、制作現場の人手不足と学校側の業務負担です。昨年の報道でも指摘されましたが、『学校カメラマン不足』や採算の取りづらさが深刻です。
カメラマンの募集要項を見ると1日1万〜2万円プラス繁忙期手当という例があり、外注カメラマンへの依存度が高い会社も多いです。人手不足による委託単価の上昇が撮影費を押し上げている構図はあります」
卒業アルバムの印刷などを行なう「斎藤コロタイプ印刷」の担当者は次のように説明する。
「紙も資材も版もインクもすべて価格が上がっており、値上げをしたいという思いはあります。加えてアルバム作りというのは小ロットの仕事です。大きな機械を回して人を動かす以上、本当はそれなりの金額をいただかなければやっていけません。それでも、アルバムを受け取って喜んでくれる子どもたちの顔を思えば、会社としてもなるべく価格を上げないようにと耐えてきました。ですがもう限界が来ています」
値上げについて「悩ましい部分がある」と話すのは、卒業アルバムや記念誌の制作を行なう「ダイコロ」の松本代表取締役社長だ。
「コストに関しては、やはり2年で10%から15%ぐらいの値上げ交渉みたいなことはあります。しかしながら、これは悩ましい面もあります。卒業アルバムは、新しい学年が始まってから次の年の卒業式に向けて作っていきますが、値上げがその間のタイミングに来るわけです。10月とか6月とか。ただ、4月の段階で1冊あたりの契約額は決めなければいけません。もちろん、年度が変わるときにある程度そういうことを加味して交渉はさせていただきますが、なかなか反映ができてないという現状があります」













