正解より、人とのズレを探す

──個人的に印象的だったのが、第8話の旅館のシーンです。文菜(杉咲花)とゆきお(成田凌)がせっかく旅館に泊まったのに、朝食を食べないことに疑問を呈す視聴者が多くいました(笑)。

「ありえない」って声がたくさん届いてます(笑)。俺、そんなにいけないことだと思ってなかったんですよ。普通に「朝ごはんは食べない」「コーヒーでいい」って言う人、全然いると思ってて。というか、俺がそうなんで。食に対するこだわりがあまりないので、朝食をパスすることも全然ある。ギリギリまで寝てたいし。だから、あのシーンにあんなに反応が集まるんだって驚きました。

文菜を通して自分の感覚が否定されている感じで面白かったです。俺、やっぱズレてるんだなって、改めて思いました。

「コインランドリーでミッシェル・ガン・エレファントを聴く女の子なんておっさんの妄想だ」みたいな意見もありましたけど、そこはさすがに言い返せます。20代30代でミッシェルやPUFFYが好きな人、全然います。ブラックビスケッツの『Timing~タイミング~』も歌える人います。あのあたりはファンタジーじゃないです。

メインの刺し盛りが到着
メインの刺し盛りが到着

──でも、その“ズレ”を自覚しているからこそ、視聴者の反応を見続けてしまうところもありそうです。

あると思います。正解を探してるというより、自分がどこで人と違うのかを確認してる感じに近いかもしれないですね。何が許されて、何が許されないのか。何がリアルに見えて、何が不自然に見えるのか。そういうのを見てると、自分の感覚のズレもわかる。それってつまりは他者を知ることですから楽しいですよ。だから、ずっと見ちゃうんだと思います。

──SNSは発信の場というより、むしろ観察や接続の場になっている。

そうですね。日々、知らない人からDMが来るんですよ。恋愛相談とか、人間関係の相談とか。基本的に全部、返事をしています。面白いんですよね、知らない視点に触れられるから。「どういう思考?」みたいな。俺からは絶対出てこない考え方もあるし、逆に同じような発想の人もいるし。

X経由で知らないフォロワーと飲みに行って相談を聞くことも
X経由で知らないフォロワーと飲みに行って相談を聞くことも

── 一段上がった位置から、人の相談に答える感じではないんですね。

ないです、ないです。年を取ったからとか、結婚してるからとかで、上の立場から答えるみたいな感覚は全然ないですね。俺も答えをわかっていないですし、一緒に悩む感じ。