“令和の憑依俳優”と呼ばれて
――幅広くいろいろな役をこなされている髙石さんですが、役作りのために実際に映画で使う銃を持ち歩いてみたり、歩き方を意識したりなどされるそうですが、心がけていることはなんですか?
髙石あかり(以下同) 昔は動きから役を知るっていうことをしていたんですが、今はホン(脚本)です。暑がっていたら、暑さに弱いキャラなのかなとか、些細なことでもト書きにしてます。
言葉数が少ないキャラクターだと情報も少ないんですけど、何度も何度も読むと、相手が話している言葉から自分の演じるキャラクターも知れるので、とにかく脚本が教えてくれると思っています。
――幅広い役柄をこなし、しかも役になりきっているので、“令和の憑依俳優”という呼ばれ方もされていますが……。
ちょっと前までは自分を消さなきゃいけないと思っていて、憑依っていうんですか、役に自分が乗っ取られることをよしとしていた時期があったんですけど、いまは役と自分をちゃんと分けています。
「アクション!」の声で役になって、カットの声で自分に戻る。号泣するなど暗いシーンの後はオフになっても引きずりがちなんですけど、それでもちゃんとオンとオフを切り替えて、アクセルの踏み方を少しずつ学んでいるところです。
――今回の映画『ゴーストキラー』では殺された殺し屋の霊が取り憑いて、2人が入れ替わるさまを瞬時に演じていて、すごいなと思いました。
あれは大変でした(笑)。脚本を読んで、これを私1人でやるんだろうかと信じられず、もう一度脚本を読んだら、やっぱり私1人でやるんだと、びっくりで。でも俳優として、こんな楽しい役もなかなかないなと。すごく難しかったけど、結果めちゃめちゃ楽しかったです。
――壁が高いほどやる気が出るタイプですか?
燃えます。お芝居って職業は正解がないので、自分で登っていくしかない楽しさがあります。現場では「えっ! 無理」と思っていても、現場の自分ではない自分からするとウェルカムです。
――以前のインタビューでは役に入り込むと自分がなくなると言ってました。
100%感情に身を任せる瞬間は多々ありますし、99%が役だけど、1%自分を残すときもあります。
100%のゾーン状態って楽しいんですよ。コントロールができないので、めちゃめちゃ楽しいんです。「どういうこと?」ってぐらい、勝手に感情が出てくる。ただ、今は少し自分が残っている方が心地いいです。