“初任給日本一”は自治体採用を変えるのか
「初任給日本一」を掲げた大阪府和泉市役所が、自治体採用の常識を揺さぶっている。
2024年4月の人事給与制度改革で全国トップ水準の初任給を打ち出し、2025年4月には大卒・地域手当込みで27万50円に到達。さらに2026年度の採用サイトでは、大卒初任給は25万5800円、地域手当11%反映後は28万3938円と、ついに“28万円超え”を前面に掲げている。
和泉市が狙ったのは、単なる賃上げではなく、「給料が高い自治体」として全国に認知され、優秀な人材を集めることだった。
こうした人材採用の方針について、和泉市役所の人事課担当者は2025年4月、集英社オンラインの取材に対してこう答えていた。
「この取り組みは、実は5年以上前から内部で議論が始まっていたものです。やはり、民間企業と同じく、優秀な人材をどう確保していくかというのは、自治体としても大きな課題でした。
特に公務員の世界では、“給料が高い”ということをあからさまにPRするのは難しい部分があります。そうした中で、『初任給が日本一』という分かりやすいキーワードを掲げることで、和泉市の存在を知ってもらい、興味を持ってもらうきっかけになるのではないかと考えました。
実際には、“こういう人に来てほしい”と限定するのではなく、多様な価値観を持った人たちに応募してもらうことを期待しています。また、将来的に2056年の市政100周年を迎えることも見据えており、先を見据えた市政運営のためにも、この制度を設計しました」
この狙いは、少なくとも入口の数字では成功している。
制度改正後、最初の採用では申込者数が前年を上回り、2024年度春採用では合計59人の採用予定に対し645人が応募した。さらに2025年春採用では、集英社オンラインの取材に対して和泉市側が、全体で47人採用予定に803人が応募し、事務職Aでは11人に対して549人、倍率49.9倍に達したと説明している。
人口約18万人規模の自治体がここまで採用市場で話題になった例は珍しく、「初任給日本一」というわかりやすい言葉が強力なPR装置として機能したことは間違いない。













