「俺たちは、“男が闘いを呼ぶグループ”だ」

バンドブームを検証することをテーマに、多くのアマチュアバンドマンが参加し、男闘呼組のメンバーはゲストとして出演した。

生放送5分前、「ギリギリに行きゃいいじゃん」と、健一はいつものように楽屋でくつろいでいた。マネージャーが焦りだし、ようやく「大丈夫、今、行くから」と楽屋を出ると、何やらスタジオが騒々しい。

「おい、高橋来いよ。怖いのかよ! 」
「何だとこの野郎、てめえが降りてこい! 」

ひな壇最上段にいたバンドマンとゲスト席の和也が、今にも殴り合いが始まりそうな勢いで怒鳴り合っていた。

放送開始30秒前、MCが「とりあえず席につけ!」とどうにか諫(いさ)めるのと同時に番組は始まった。

メンバーの誰が言い出したかは定かではない。それでも昭次の記憶には、こんなやりとりが残っている。

「どこに行っても喧嘩が絶えなくて。でも、『これはこれでいいんだよ』って。俺たちは、“男が闘いを呼ぶグループ”だ。バンド名通りなんだ、受け止めようぜって。闘うことウェルカムでやってけばいいんだって。やっぱアイドルがバンドやってるってことで、目の敵にされたのかな。でも、それが逆に自分たちのパワーになってた。

俺たちには俺たちのやり方しかないんだから、だったらもう空き缶投げつけられたって胸張って堂々とやってるほうがカッコいいじゃんって。あの頃、たとえそれが虚勢であろうと、胸張るしかなかったんですよ」

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男闘呼組を否定する者たちをねじ伏せようと、男闘呼組のメンバーは徐々に自らの手で曲を作り始める。それは世間に対する彼らなりの反抗だった。

そして反抗のベクトルは、彼らに偽物のレッテルを貼ろうとする者以外にも向けられるようになっていく。

「ロックバンドだから」という理由で、事務所名物のうちわやペンライト、手拍子での応援も禁止した。

テレビのインタビューには尊大な態度で臨み、何を聞いてものらりくらりと質問をはぐらかしてはインタビュアーを困らせた。

サインを求められた際、漫画『あしたのジョー』の主人公のライバル・力石徹(りきいし・とおる)の名前を書いた。そこに意味などなかった。

和也は「あの頃、俺は常に怒ってた。誰彼構わず」と当時を振り返る。