どんな条件がそろえばボイコットは起きるのか?
他方、国際政治学を専門とする六辻彰二氏は、ボイコットには至らないという見解を示す。
「確かに不参加の理由という点では一致しているが、モスクワの時はソ連がアクション(軍事侵攻)を起こしている。また当時(アメリカが)ソ連に対して強く出るという姿勢があった。対立している所は多いが、現時点で政府レベルでアクションを起こし、必要以上に刺激しても、それに見合うだけのリターンが薄いのでは」
また今回の騒動に関しては、
「政府レベルはノータッチに近い。スポーツ界、関連団体の主だった人達から声は上がっているが、主流派から離れた人、例えばブラッター前会長(FIFA)など、責任ある立場の人が言及していない」
と話し、意思決定を下す層まで響いていない現状を指摘した。
ボイコットに発展するかどうかは、開催までにアメリカがグリーンランド領有へ実際に動き出すか、政府高官といった「上の人」を巻き込めるかによると言えるだろう。
では今回のボイコット運動はどこに行き着くのか。現時点でボイコットに至る確率は限りなく低い。六辻氏は「(大会が)始まってしまえば、なし崩し的に消えてゆくのではないか。もちろんそれで反トランプ感情が薄れる訳ではないが、大会が始まって自国が勝ち進んで行けば、消えて行くのでは」との見立てだ。
本大会まで半年を切ったが、トランプ政権が急にベネズエラを攻撃したことを踏まえると、開催までにグリーンランドに対し動きを見せないとは言い切れない。
莫大な利益を生むW杯。FIFAはビジネス王国アメリカと協力して、滞りなく大会を進めたいところだが、トランプ政権が本格的に所有へ動き出せば、「グリーンランドを守る」という大義名分から、NATO加盟国を筆頭に欧州諸国でのボイコットが現実味を帯びるだろう。
取材・文/集英社オンライン編集部 写真/shutterstock サムネイル写真/共同通信社













