「自分なんていないほうがいい」
中学受験をして私立の中高一貫校に入学すると、からかわれるようになった。好きなピアノをやめて塾に通ったストレスで、体重が増えてしまったのだ。
クラスの男子が力士の名前が入った歌を大きな声で歌い、笑いながら、自分のほうを見てきたのをよく覚えている。嫌だった。
「明らかに肥満体形だったので、自分は太っている子だしって、自分でも自分がイジメられることを受け入れていました。
幼いころからの積み重ねもあるんやと思いますが、根底のところは自己肯定感が低いんです。常に卑屈ベースで、『自分なんていないほうがいい』っていう気持ちはずっとありました」
同じ声優が好きなオタク仲間がクラスにいて、やんわり止めてくれたが、それでも、男子たちのからかいは続いた。
「学校に行きたくなかったけど、あの時代は、不登校になるという選択肢が浮かばなくて。そのころ同じグループの子にゲームを買うためのお金を盗まれたのが、すごいショックで。人を信じられなくなって、『死にたい』という気分になって……。
だから、私の中で、自分自身は中2で1回死んだイメージになっているんですよ」
藤原さんは「自分を出すと嫌われるから、しゃべらないでいよう」と決めて聞き役に徹した。するとゲーム好きな姉御肌の子が声をかけてくれ、別のグループに入れてもらえた。
その子の誘いで吹奏楽部に所属。勧めてくれたゲームに没頭し睡眠不足で成績が下がったが、仲間とのつながりを学ぶきっかけにもなった。
高校を卒業後、女子大に進んだ。袴への憧れがあり、弓道部に入部。同じゲームが好きな友人やゼミ生、先輩たちと仲よくなり、カラオケに行ったり、一緒にゲームの聖地へ旅行まで行った。
「恋愛シミュレーションゲームのおかげで、自己肯定感をかろうじて保てました。自分はゲームの主人公のように可愛くも完璧でもない、と思いながらも、キャラクターたちからときめきを少しだけ受け取ることができました。
特に京都の平安時代をモチーフに、キャラクターの闇や意地悪な言動もフューチャーされた作品があって、そこから、現実の人間関係でも『些細な意地悪には耳を傾けず、自分を守る』という学びも得ました」













