男闘呼組活動休止、逮捕、そして再生への道のり
デビューから瞬く間にスターダムにのし上がった男闘呼組。しかし自叙伝『人生はとんとん―成田昭次自叙伝―』に綴られる当時の活動の裏側には、あの時代ゆえの苦悩が色濃く見て取れる。
80年代後半は第二次バンドブームが起きた年であり、とりわけ首都圏では『三宅裕司のいかすバンド天国』が人気を博していた。さらにTHE BLUE HEARTSやJUN SKY WALKER(S)など、名だたるバンドが登場したことが、ブームをいっそう加熱させた。
アイドル事務所に所属する男闘呼組には、これが逆風となる。「本物ではない」、「偽物のバンドだ」などといわれなき批判を浴び、音楽と真摯に向き合っているからこその辛苦に苛まれた。
それでも「俺たちは“男が闘いを呼ぶグループ”だ」と、逆境を力に変えて前を向き続けた当時の描写には、字面以上の悩みと覚悟、そして決意が窺える。
1993年、事務所が高橋和也を解雇したことを機に男闘呼組の活動がストップすると、自叙伝としての展開もいっそう加速する。それは成田の人生の波乱にブーストがかかったことと同義である。
ソロでの活動。事務所の退所。離婚。そして大麻取締法違反による逮捕――。
表舞台を去ってからの空白期間はある意味、『人生はとんとん―成田昭次自叙伝―』の最大の見どころと言えるだろう。41歳にして大工として働き始め、その後、材木屋や工場、飲食店での仕事に勤しむ日々は、いわゆる「職を転々」とした虚無な時間ではない。
成田昭次という元芸能人が、ひとりの人間として大きく成長するために必要な糧を得る時間であった様子が、行間からもありありと窺える。
この期間は世間的に、成田が消息不明とされていた時期であるが、本書を一読すれば、これがいかに重要なターニングポイントであったかが理解できるはずだ。記者会見中、本人が再三に渡って周囲への感謝を口にしたのも、まさにこの時間があればこそ、だろう。













