ファン歓喜。「自分ではどうにもならない夢が叶った」
1月24日、代官山蔦屋書店では、成田がファンに直接、同書を手渡しするイベントが催された。かつて男闘呼組に熱狂し、2022年の期間限定での活動再開に歓喜し、成田の消息がしれなかった期間もずっと待ち続けたファンたちが、イベント開始前から長蛇の列をなした。
横浜から足を運んだというファンのひとりが、目をうるませながら言う。
「昭ちゃん(成田の愛称)の活動再開は、私たちファンがどんなに切望しても、叶えようのない夢だと思っていました。それがこうしてまた元気な姿を見せてくれるのですから、どうにもならないはずだった夢が叶った気持ちです。きっと、今日集まった他のファンの方たちも、同じ想いでいるはずですよ」
なお、『人生はとんとん―成田昭次自叙伝―』の制作プロセスにおいては、こんな裏話がある。男闘呼組の他のメンバーや成田の母の声まで採録して仕上がった第一稿を読んで、当の成田がダメ出しをしたというのである。
「もっと、“負”の部分をしっかり入れたいです」
成田の半生には、離婚や逮捕などおよそスターのイメージにそぐわないファクトが複数ある。ミュージシャンとしてのイメージを大切にするなら、そうした負の部分をオブラートに包んで表現したり、あるいはまったく触れずにやり過ごすこともできたはずだ。
しかし成田自身が表現したかったのは、そうしたお仕着せの自叙伝ではなく、あくまでこれまでの経験から得たものを、余すことなくすべてぶつけた渾身の一作なのだ。
「現時点での成田昭次のすべてを出し切りました。ここに書いたことに、嘘偽りはありません。僕自身、これからもまだまだ成長していくつもりですし、そのためのバイブルのような一冊が実現できたことは、凄く恵まれたことだと思います。この本に恥じないよう、これからの人生を全うしていきたいですね」
発売後、すぐに大量の重版が決定した『人生はとんとん―成田昭次自叙伝―』。その反響に「信じられない」とはにかむ成田だが、これも人生は何度でもチャレンジできるものであるということを身を以て示し、そこに多くのファンが共感したからこそだろう。
往年のファンはもちろん、ミドルエイジ・クライシスに直面する中年層にとっても、胸に迫る一冊になりそうだ。
文/友清 哲 写真/村上宗一郎













