広告塔の沈黙「公邸引きこもり」の謎

何か重要な政策を決めようにも、維新側が「大阪の意向」を確認するたびに時間が止まる。その苛立ちが、高市総理を「単独過半数」という過酷な博打へと突き動かした。

自民党執行部は、この女王の決断に戦々恐々としている。 単独過半数奪還に向け、全国289の小選挙区のうち285以上で擁立を強行。だが、かつての自民党を支えた「最強の集票マシン」は、もうそこにはない。

26年間にわたり二人三脚で歩んできた公明党との決別––––。これが、各地の小選挙区で地滑り的な惨敗を招くリスクを、総理はどこまで見越しているのだろうか。

解散から数日、自民党本部の選挙対策委員会には不穏な空気が流れていた。 「支持率70%の総理をフル回転させる」という基本戦略が、いきなり出鼻をくじかれたからだ。

1月23日に解散し、事実上の選挙戦がスタートした最初の週末。全国の重点区から「総理に応援に来てほしい」と悲鳴のような要請が殺到した。ところが、24日、25日の両日、高市総理は党首討論会を除き、総理公邸に閉じこもったまま姿を現さなかったのだ。

かつての小泉純一郎氏や安倍晋三氏は、解散の翌日には全国を飛び回り、一日に何カ所もの街頭に立ち、聴衆を熱狂させた。1カ所でも多く演説するために、時にはチャーター機を飛ばすことさえあったという。対照的に、高市総理の静寂。

「総理は我々を見捨てたのか」

首相官邸
首相官邸

「脳梗塞を患った夫、山本拓氏の介護か。それとも政策の猛勉強か」

憶測が飛び交う中、現場の候補者からは「総理は我々を見捨てたのか」という恨み節すら漏れ聞こえる。

自民党が作成した今回の政権公約(マニフェスト)を見れば、その異様さが際立つ。「なるべく文字を減らし、総理の写真を多用した」というその冊子は、公約集というより「高市早苗写真集」だ。

政策の詳細は霞み、総理個人の人気に全乗りする戦略。しかし、肝心の「写真の主」が街頭に現れないのでは、看板倒れと言わざるを得ない。

高市自民の「右傾化」を逆手に取り、音を立てて動き出したのが、立憲民主党と公明党による禁断の合体、新党「中道改革連合」である。

野田佳彦氏と斉藤鉄夫氏の共同代表制。世論調査では「期待が持てない」が52%を占め、若手議員からも「名前が古くさい」と揶揄される始末だ。だが、この新党の本質は「看板」ではなく「数字」にある。