「中道改革連合」という名の刺客。そして辺野古、減税、「悪夢の再来」

「一つの選挙区あたり、1万から2万といわれる公明・創価学会の票。これが自民から剥がれ、我々に流れる。これだけで接戦区の景色は一変する」 合流した立憲出身の若手は、冷徹に計算式を弾く。

大阪16区で中道から出馬する森山浩行氏は、手応えをこう語る。

「私の区では維新、自民、参政党が三つ巴で保守票を奪い合う。反高市の受け皿は私一人。これまでは一強多弱に泣かされてきたが、今回は保守分裂の恩恵をこちらが受ける番だ」

これこそが、高市総理が直面している「公明離反」の真の恐怖である。これまで「下駄」として自民候補を支えてきた組織票が、今度は「刺客」として牙を向く。

中道改革連合の共同代表を務める斉藤氏(左)、野田氏(右)(野田氏Xより)
中道改革連合の共同代表を務める斉藤氏(左)、野田氏(右)(野田氏Xより)

しかし、野党連合にも致命的な弱点がある。それは、かつての民主党政権を崩壊に導いた「外交・安全保障」のトラウマだ。

沖縄・普天間飛行場の辺野古移設問題。「政権を取ったら現実的に対応する」と一旦は容認姿勢を見せた安住淳幹事長だったが、地元沖縄県連の猛反発を受け、翌日には「まだ決まっていない」と前言を撤回。24日の党首討論でも、野田代表は高市総理の追及に対し「沖縄に寄り添う」という曖昧な言葉に逃げた。

「中道が政権を取れば、また基地問題で迷走する。これで『悪夢の民主党政権の再来だ』と堂々と言える」 (自民党関係者)

自民党の候補予定者は、この野党の足並みの乱れに一縷の望みを託す。

高市総理自身が抱えている火種。唐突に打ち出した「消費減税」

一方で、高市総理自身も火種を抱えている。唐突に打ち出した「消費減税」だ。 これにマーケットは敏感に反応した。円安が加速し、長期金利が上昇。物価高に苦しむ国民にとって、減税の恩恵よりも金利上昇のデメリットが上回るリスクが顕在化しつつある。

「スパイ防止法」や「防衛費拡大」といった保守層向けの政策は威勢が良いが、足元の経済運営に狂いが生じれば、支持率は一気に瓦解するだろう。

「『進退をかける』と宣言した以上、高市総理はもっと熱量を持って選挙戦に臨まないと痛い目に遭うだろう」

自民党のベテラン議員は、冷ややかな視線で官邸を見つめている。今回の衆院選は、単なる政権選択選挙ではない。 それは、四半世紀続いた「自公体制」という戦後政治のパッケージが崩壊した後の、新しい日本の姿を問う選挙だ。