「流用」「泥棒」とSNSで非難殺到、公明党側は「デマが飛び交っている」

しかし、この発表直後から、ネット上では厳しい批判の声が上がり始めた。批判の核心は、年金積立金という「使途が限定された資金」から生じる利益を、消費税減税という「一般財源」の代替として使うことへの是非にある。

SNS上では、「現役世代が積み立てたお金を運用するGPIFが出した利益を、高齢者に恩恵の大きい消費税減税の財源に流用するのか」といった指摘が相次いだ。消費税の減税は全世代に恩恵があるとはいえ、その原資となる運用益を生み出している元本は、現役世代が負担した年金保険料である。

「GPIFの運用で得た余剰金は年金保険料の削減に使うのが筋。別の税金引き下げ原資にするなど言語道断。そういうのを流用っていうんだよ」という意見や、「他人の財布に手を突っ込んで高齢者にばら撒くな」といった強い反発が見られた。

こうした批判を受け、公明党のいさ進一氏(元衆議院議員)は1月21日、自身のYouTubeチャンネルで「デマが飛び交っている」と釈明を行なった。

いさ氏は、「年金を取り崩して財源に充てるわけではない」と強調した上で、次のようなロジックを展開した。

GPIFの運用利回りは年4.51%と好調だが、もともとの運用の目標は「賃金上昇分」の確保であり、この賃金上昇分以上に増えた利益については、年金以外の使い道を議論しても良いのではないかという主張である。

GPIFの収益額(累積)は180兆円にも及ぶ(画像/GPIF公式HPより)
GPIFの収益額(累積)は180兆円にも及ぶ(画像/GPIF公式HPより)

また、いさ氏は、年金の基金は現段階ではあくまで資金の候補の一つであるという考えを示した。

しかし、これに関しては国会答弁と矛盾するとSNSで指摘されている。また、「投資元本は使わず、利益の一部を使う」という説明は、批判派が指摘する「流用」の本質的な問題に対する回答にはなっていない。

「利益が出ているなら使ってもいいではないか」という意見もあるかもしれない。しかし、年金制度の仕組みと法律に照らすと、この主張には重大な問題がある。

第一に、法律上の目的外使用にあたる可能性がある点だ。厚生年金保険法第79条の2には、積立金の運用は「専ら被保険者の利益のために」行うものと明記されている。GPIF自身も、その使命を「年金事業の運営の安定に資する」ことと定義している。運用で得た収益は、将来の年金給付に充てられるか、現役世代の保険料負担を軽減するために使われるべき性質のものであり、消費税減税という別の政策目的のために運用益を抜くことは、法の趣旨に反する「流用」にあたる可能性がある。

第二に、「過剰な利益」という認識の誤りである。いさ氏は「賃金上昇分だけ確保できればよい」という考えもあると言及したが、GPIFの積立金は、少子高齢化で現役世代が減少する将来において、給付財源の不足分を補うための「備え」である。現在の運用益は、将来の現役世代の負担が重くなりすぎないようにするための貴重な原資であり、いま余裕があるからといって別の用途に使ってしまえば、将来の不足時にそのツケが回ってくることになる。