吉村氏が選挙を急ぐ「二つの事情」
ではなぜ選挙を先に行なう必要があるのか。
吉村氏は2023年の再選後に言い始めた構想なので「何らかの民主的なプロセス」が必要と主張するが、地元記者は「維新議員による国保(国民健康保険)逃れ問題から目をそらす狙いでしょう」と話す。
「吉村氏が辞職を発表した15日に、維新は脱法的な国保逃れをしていたとする6議員を除名しました。でもこれで終わるわけがない。特に仲介料を取って“国保逃れコンサル”をした議員がいたとの情報があり『事実なら相当ヤバい話』とみるメディア各社が追いかけています」(同記者)
さらにもう一つ、都構想の逆風になる動きがあると維新の手法に精通した関係者が話す。
「都構想は大阪市を4つとか5つの特別区に分割する制度変更です。当然ですが4つに割れば、4倍とはならなくとも首長も管理職もその分増え、住民一人当たりのコストも上がります。
コストを下げるには自治体は分割でなく逆に合併したほうがよく、実際に“平成の大合併”と呼ばれる全国自治体の再編成はこうした考えから実施されました。
そこで、大阪市を軸に周辺自治体がいくつか合併する巨大な“特別市”に再編すれば、コスト削減と住民サービス向上ができるという考えが最近一部国会議員らから提唱され、注目されているんです」(関係者)
この特別市構想には法整備が必要だが、大阪は政治的環境が整った、実現に最も近い地域だという。
「大阪は大阪市だけでなく周辺市も、首長だけでなく議会多数派を維新が押さえており、維新がその気になれば複数市の行政と議会の賛同ですぐ実現できるでしょう。しかし、これまであまり知られていなかったこの構想に維新は反対してきました。都構想と真逆の発想だからです。
今、この特別市構想に目が向き始めたことに吉村さんは焦っている気配で、選挙で都構想を連呼することで特別市構想への関心が高まるのを防ぎたい思惑もありそうです」(前同)
吉村氏は21日、再選されれば任期切れで改選を迎える来年4月の統一地方選を念頭に「1年3か月の間に住民投票を実施させてくださいということに当然なる」と述べたが、住民投票は統一選との同時実施を目論んでいるとの見方が強い。
「これまで否決された2回の住民投票はいずれも単独で実施されました。しかし次の統一選で住民投票を知事選と市長選、府議選、市議選に合わせた“5重選挙”で行なえば賛成多数に持ち込めると考えているようです」(地元記者)
国保逃れの批判拡大か都構想実現か。政治生命がかかる吉村氏が必死になるのも無理はない。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班













