大晦日に切り替えに熱狂するソフィア市民

欧米圏では大晦日に繁華街へと繰り出し、カウントダウン楽しむのが通例である。私も氷点下の寒さをものともせずに、23:30にはソフィア市内の国民議会やブルガリア国立銀行などが並ぶスクエアに赴いた。

ユーロ導入を前に熱狂する市民
ユーロ導入を前に熱狂する市民

広場では若者に混じってロックコンサートを楽しんだものの、年が変わる時刻が刻一刻と近づくにつれ、ユーロ加盟に関するイベントはないのだろうかと訝しんだ。

すると0時直前に音楽が止み、大量の花火が上がり始めた。荘厳な佇まいの国立銀行の壁面には金貨をあしらった動画が投影されはじめており、日付が変わる瞬間、そこにユーロ紙幣がプロジェクションマッピングによって現れたのである。

国立銀行の壁面に映し出されたプロジェクションマッピング
国立銀行の壁面に映し出されたプロジェクションマッピング

ブルガリア語は全くわからないのだが、明らかに「今日からユーロだ!」というメッセージ性を含んだ映像に民衆は興奮し、広場全体が唸り声のような歓声に溢れたのであった。

「EU最貧国」と陰口を叩かれていたブルガリアが、EUが求める基準をクリアし、まさにユーロ圏に迎え入れられた「その時」に立ち会えた感激は非常に大きかった。

世論調査では、確かにユーロ加入を全国民が手放しで喜んでいるわけではないという動向が読み取れる。ただイベント会場の人々は、「経済的に立ち遅れていた旧共産国が、西側に追いついた」という歴史的瞬間を祝うという意味で、文字通り「狂喜乱舞」と呼ぶのが相応しい興奮状態の中にあった。

近年のブルガリアの政治状況は決して明るいものではなく、短命内閣がクルクルと変わるという状況なのだが、イベント会場にいる人々の自信に溢れた明るい表情を目の当たりにし、異邦人である私も心からの祝福と拍手を送りたい気持ちになった。

しばらくすると音楽はヨーロッパ民謡調の楽曲に変わり、年配の人たちがフォークダンスのようなステップで踊り始めた。その動きは軽やかであり、やはり嬉しいのだろうなと思わせる陽気な笑い声が長時間に渡って響いたのであった。私の人生の中でももちろん、稀有な体験であったと言えよう。