ユーロ導入前夜
筆者は2025年12月末から2026年はじめにかけ、ブルガリアに滞在した。
ブルガリアの通貨レフ(lev、ただし実際には複数形のレヴァlevaで発音されることが多いが、ここでは慣例に従ってレフで呼称を統一する)がユーロに置き換わる瞬間を見届けたいという願望があったからである。
ユーロへの切り替えは、現地ではどのように受け止められたのであろうか。旅人の目線から、ユーロ採用国となったブルアリアの最新状況をレポートしたい。
旅行行程としては、12月29日から現地に入ったが、そもそも1月1日以前にユーロは使えるのかと不安もあった。その不安は的中し、ソフィア空港に乗り入れている地下鉄の券売機は1.6レフの表示のみで、ユーロを受け付けていなかったので、急ぎ少額のユーロをレフに替えて購入した
しかし、改札のない当地の地下鉄に乗ってみてわかったのだが、ブルガリア(そして経由地であったルーマニアも含め)の公共交通は運賃の支払いは車内でのクレジットカードのタッチ決済になっており、もはや切符は不要のものとなっていた。
そのため、レフ表示の切符は捨てず、今後手に入らない貴重なコレクションとして大事にとっておくことにした。
さて、ホテルにチェックインしてから、なにか食べようと思い、カフェに入ってみた。面白いことに、メニューが完全にレフとユーロの両表記になっていた。
これはユーロ切り替えに当たっての便乗値上げを防ぐという意味があるのだそうで、1月1日以降も基本的に両貨の併記は続いているし、普通にレフも使われ続けている。制度的には、1月末まで、商店などはレフ利用を拒否できないとのことだ。
ユーロとレフのレートは公定レートなので、ユーロの表示は端数が増えて非常にキリが悪いが、ユーロの現金で払うときの端数はオマケしてくれるのでちょっと得した気分になる。
ブルガリアでは首都ソフィアにいる限りはほぼカードだけで対応できたが、地方では商店を始めとして、未だ現金しか受け付けていないところもあるので、少額のキャッシュはやはり用意しておくべきだろう。
それでは現金入手のためのATMのユーロ、レフの切り替えはどうなっていたのだろうか? ホテルに聞いてみると、ATMは12月31日夕方6時で一旦締まり、1月1日の午前8時から開くと教えてくれた。
多くの人々がカウントダウンを楽しんでいるなかで、まさにエッセンシャルワーカーとして働く銀行の人たちに頭が下がる。そこで大晦日に「レフでお金が引き出せるのもこれが最後」と考え、ATMで小額紙幣を引き出してみると、当然のことながら言われていた通りにレフが現れた。













