漂流する化粧まわし

そんな化粧まわしは、関取の現役引退後にどうなるのか。

現役時代の応援への感謝を込めて贈り主にお返しする、というケースが少なくない。返されたタニマチは、会社の応接室に飾るなどしている。

国技館の相撲博物館に寄贈する関取も多い。元横綱北勝海の八角理事長は、数々の品を博物館に寄贈している。現役の時に所有していた品で最も高価だったのは、後援者から贈られた金彩友禅の3本セットの化粧まわしで、これも博物館に収蔵されていることは、博物館の項で触れた。

両国国技館(写真/PhotoAC)
両国国技館(写真/PhotoAC)
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ちゃんこ屋など知り合いの飲食店に飾られるケースも多いのだが、閉店などで散逸する心配がある。

元大関の協会幹部は、自分の化粧まわしがネットオークションに出品されているのを見つけた。知り合いの飲食店主に贈った品だったが、店を廃業した際に人手に渡り、引退から何十年もたってオークションに出されたらしい。

「ネットで再会したのは運命だと思って競り落としたんだけどさ、自分が締めていた化粧まわしに、けっこういいカネを払わされたよ」

落札額を聞いたら、思わず「おーっ」と声が出る金額だった。

文/抜井規泰

『白鵬はなぜ嫌われなければならなかったのか だれも知らない角界不思議話』(講談社+α新書)
抜井 規泰
『白鵬はなぜ嫌われなければならなかったのか だれも知らない角界不思議話』(講談社+α新書)
2026/1/8
1,210円(税込)
240ページ
ISBN: 978-4065423196

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