漂流する化粧まわし
そんな化粧まわしは、関取の現役引退後にどうなるのか。
現役時代の応援への感謝を込めて贈り主にお返しする、というケースが少なくない。返されたタニマチは、会社の応接室に飾るなどしている。
国技館の相撲博物館に寄贈する関取も多い。元横綱北勝海の八角理事長は、数々の品を博物館に寄贈している。現役の時に所有していた品で最も高価だったのは、後援者から贈られた金彩友禅の3本セットの化粧まわしで、これも博物館に収蔵されていることは、博物館の項で触れた。
ちゃんこ屋など知り合いの飲食店に飾られるケースも多いのだが、閉店などで散逸する心配がある。
元大関の協会幹部は、自分の化粧まわしがネットオークションに出品されているのを見つけた。知り合いの飲食店主に贈った品だったが、店を廃業した際に人手に渡り、引退から何十年もたってオークションに出されたらしい。
「ネットで再会したのは運命だと思って競り落としたんだけどさ、自分が締めていた化粧まわしに、けっこういいカネを払わされたよ」
落札額を聞いたら、思わず「おーっ」と声が出る金額だった。
文/抜井規泰













