高支持率政権ほど国民負担を増やしやすい
仮に、年収600万円前後の共働き世帯を考えてみよう。社会保険料の上昇、新たな支援金の負担、ブラケットクリープによる税負担増、そして物価高。これらが重なれば、年間で数十万円規模の実質的な可処分所得の減少につながっても不思議ではない。
それでも多くの人は、「増税された」という明確な実感を持てない。すべてが別々の名目で、少しずつ進むからだ。
政府は国民負担の増加について、「財政が厳しいから」「少子高齢化だから避けられない」と説明する。だが、これは真実ではない。問題の核心は、数字の問題ではなく、政治の意思決定構造にある。
日本の政治には、はっきりとした経験則がある。支持率が高い政権ほど、国民負担を増やす政策に踏み切りやすいという現実だ。政府は自身の力を強めるため、常に増収を狙っている。
ただ、民主主義で増収ばかりやると選挙に負ける。しかし今の高市政権のように高い支持率の政権が生まれると、選挙の心配が少なく、「今なら国民は耐えるだろう」という空気が生まれる。
「日本版DOGE」の姿勢では根本解決にはならない
増税や負担増は、不人気政権ではできない。だからこそ、支持率が高いうちに、まとめて進めようとする。
また日本の財政運営で最も手を付けられてこなかったのが歳出改革である。特に高齢者向け給付は、医療・介護・年金を問わず「聖域」とされ、抜本的な見直しは先送りされ続けてきた。
高齢者は投票率が高く、組織的な政治力も強い。そこに切り込めば、政権は一気に不安定化する。
その結果、調整弁として使われてきたのが、日々の生活に追われ、政治に十分な関心を向けにくい現役世代、若者、子育て世帯だ。社会保険料の引き上げ、新たな支援金、物価上昇による実質負担増。これらはすべて、政治的な反発が比較的弱い層に集中している。
ここで象徴的なのが、「日本版DOGE」とも呼ばれる租税特別措置・補助金見直し担当室のあり方である。
無駄な税優遇や補助金を見直すという理念は正しい。しかし、削減案を国民アンケートで募るという姿勢では根本的な改革にはならない。
政治が本来果たすべき役割は、責任を持って優先順位を決め、既得権にも切り込むことだ。「国民の声を聞いた」という形式だけを整え、痛みを伴う決断を避けるなら、それは改革ではなく先送りにすぎない。
予算の上限を決めて、国民ではなく各省庁に削減案を出させるマイナスシーリングをやればいいだけの話である。













