宇山佳佑『風読みの彼女』
僕が恋したあの人は、”風の記憶″を読むことができる――。 横須賀で暮らす二十二歳・野々村帆高。 職を探す彼が偶然見つけたのは、『ガラス雑貨専門店・風読堂』でのアシスタントの募集だった。風読堂の店主・級長戸辺風架さんは、ガラス雑貨の販売に加え、もうひとつ秘密の依頼を受けている――“風読み”の仕事だ。 にわかには信じがたい風架さんの力を求めて、今日も風読堂には悩みと願いを抱えた依頼主が訪れる。 爽やかな風が織りなす、ファンタジック・ストーリー!
宇山佳佑『風読みの彼女』
僕が恋したあの人は、”風の記憶″を読むことができる――。 横須賀で暮らす二十二歳・野々村帆高。 職を探す彼が偶然見つけたのは、『ガラス雑貨専門店・風読堂』でのアシスタントの募集だった。風読堂の店主・級長戸辺風架さんは、ガラス雑貨の販売に加え、もうひとつ秘密の依頼を受けている――“風読み”の仕事だ。 にわかには信じがたい風架さんの力を求めて、今日も風読堂には悩みと願いを抱えた依頼主が訪れる。 爽やかな風が織りなす、ファンタジック・ストーリー!

いつか小説を書いてみたい

宇山 新刊の『風読みの彼女』は、風は世界中の人々を見つめていて、そのすべてを記憶している……という設定なんです。ヒロインはその風の記憶を読み取って、瓶の中に閉じこめて、誰かに見せてあげることができるのですが、大橋さんはもう一回見てみたいご自身の記憶ってありますか?

大橋 自分の記憶を見たいというより、風の気持ちを聞いてみたいかもしれません。たくさんの人の歴史をずっと見てきて、何を思っているのかなって……。風はしゃべれないじゃないですか。風も動物も、スマホとかモノもそうですけど、僕、全部心があるんじゃないかと思うんですよ。だから気になります。風はどんなことを思いながら人間を見ているのかなって。

宇山 風って不思議な存在で、人間にとっては敵にも味方にもなると思うんです。ヨットや帆船は風がなければ進まない。でも時に人を傷つけることもある。そう思うと、風にも心があるような気がしてしまいますよね。
 僕自身は、風のような自然現象や植物をシンボルにして小説を書くことが多くて、『桜のような僕の恋人』は桜だし、『この恋は世界でいちばん美しい雨』は雨、『ひまわりは恋の形』はひまわりとか。

大橋 ほんまや! 言われてみれば……。

宇山 風については、いつかは書きたい題材でした。ふさわしい物語をずっと探していて、ようやく十年の節目に出す小説として書くことができました。

大橋 まだ読み切れてはいないんですが、これから最後まで読みたいと思ってます。
 実は、僕もいつか小説を書いてみたいと思っているんですよ。ただ、語彙力があまりないので、伝えたいことが伝わらない時があって……。でも文章を書くのは好きなので、一つでもいいから自分なりの小説を書いてみたいなと思っています。

宇山 そうなんですね! どんなお話を書かれるのか、ぜひ読んでみたいです! 大橋さんは本をたくさん読まれているし、ドラマや映画にも多く出ていらっしゃるので、語彙力とは別に起承転結のような物語の基本が身体に染みついていると思うんですよね。なので、きっと書けますよ!

大橋 短い話ならまだなんとか書けそうな気がするので、短編集みたいな本が出せたらいいなって思いますね。それにしても一冊の本を書くのって大変じゃないですか。これは早かった、これは時間がかかったって違いはあるんですか?

宇山 『桜のような僕の恋人』は早かったです。ただ、一度書き上げてから、推敲するのにかなり時間をかけました。読みやすくなるように何度も直して。あとは『この恋は世界でいちばん美しい雨』。この二つは早かったですね。そこから先の作品は時間がかかって苦戦してばかりです。『恋に焦がれたブルー』という作品から描写や表現により力を入れて書くようにしたので悩むことが増えました。さっき大橋さんは褒めてくださったんですが、特に書き出しが難しいんですよね。第一章とか冒頭の百枚ぐらいまで、なかなかキャラクターや物語がつかめなくて、何度も書き直したりということが多いです。

宇山佳佑『この恋は世界でいちばん美しい雨』
駆け出しの建築家・誠と、カフェで働く日菜。雨がきっかけで恋に落ちた二人は、鎌倉の海辺の街で同棲中。いつか日菜に「夢の家」を建ててあげたいと願う誠だが、ある雨の日、二人は事故で瀕死の重傷を負う。"案内人"と名乗る男女の提案によって誠と日菜は二人で二十年の余命を授かり、生き返ることに。しかしそれは、愛し合う二人が互いの命を奪い合う苛酷で切ない日々のはじまりだった——
宇山佳佑『この恋は世界でいちばん美しい雨』
駆け出しの建築家・誠と、カフェで働く日菜。雨がきっかけで恋に落ちた二人は、鎌倉の海辺の街で同棲中。いつか日菜に「夢の家」を建ててあげたいと願う誠だが、ある雨の日、二人は事故で瀕死の重傷を負う。"案内人"と名乗る男女の提案によって誠と日菜は二人で二十年の余命を授かり、生き返ることに。しかしそれは、愛し合う二人が互いの命を奪い合う苛酷で切ない日々のはじまりだった——

大橋 宇山さんは家で書かれるんですか。

宇山 家です。脚本家デビューした頃は喫茶店とか外でも書いていましたけど、今はそれが全然できなくなっちゃって。書いていて自分でも泣いたりするので、肝となるシーンは人に見られないように家で書かないとまずい(笑)。

大橋 えー! 自分で泣く時って、書いてからその文を読んで泣くんですか。それとも頭で想像して?

宇山 キーボードを打ちながらも泣きますし、直しながらも泣く(笑)。

大橋 すごっ! そうなんや。それだけ感情を込めて書かれているんですね。だから読者の自分も泣けたのかもしれません。

宇山 僕自身が泣けないものは、読者や視聴者もきっと泣けないと思っているので、自分の感情が動くことは書く上で大切にしています。

大橋和也さん
大橋和也さん
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