「中国は当分友好の相手として日本を見ないという意思表示」
こうした姿勢について、長年中国との交流事業に携わった日中青年交流協会の元理事長で、2016年に中国内でスパイ容疑で拘束され約6年間拘束された鈴木英司氏が解説する。
「中国にとってパンダを相手国に置くというのはその国との友好の証し。半世紀以上日本に預けてきたパンダを引き揚げるというのは、中国は当分友好の相手として日本を見ないという意思表示です。関係が良くならない限りもうパンダは来ないでしょう」(鈴木氏)
かつて中国は、阪神・淡路大震災で被災した神戸市の求めに応じ王子動物公園(神戸市)にもパンダを貸し出し、民間でも和歌山県白浜町の南紀白浜アドベンチャーワールドに複数の個体をレンタルし繁殖実績が上がっていた。
しかし王子動物園では昨年4月、最後に残ったメスのタンタンが国内最高齢の28歳で死亡。アドベンチャーワールドでは今年6月、飼育されていた4頭すべてが中国へ帰され、いずれも代わりのパンダはやって来ていない。
こうした経緯を振り返って鈴木氏は「中国にとってパンダは大事ですから、友好機運があってもどこへでも貸し出すわけではありません。決して表に出ることはないでしょうが、神戸は華僑の力が強いことが(王子動物園にパンダが来た)背景にあったと思います。いっぽう和歌山は二階俊博さんがいたことが大きかったと思いますよ」と指摘する。
和歌山県選出の衆院議員だった二階氏は自民党幹事長として大きな力を持ち、日中友好議員連盟会長も務めて中国との太いパイプを持つとみられてきた。
しかし自民党の裏金問題で世間の批判を浴びた後、昨年10月の衆院選に出馬せず政界を引退。後継者にしたいと考えた三男の伸康氏は昨年の衆院選と今年の参院選にいずれも自民党公認で出馬したが落選を続け、地元では「もう終わった方」とも呼ばれている。













