「⽇本は全国にパンダがいなくなる状況に直⾯する」

中国外交部の毛寧報道官は11月19日の記者会見で「高市早苗首相の台湾関連の誤った発言は中国人民の怒りと強い非難を招いた」と首相を名指しして非難。

また、「日本側が撤回を拒否し、さらには過ちに過ちを重ねるなら中国側は厳しく断固たる対抗措置をとらざるを得ない」と強調した。今までの措置はまだ“厳しい対抗措置”ではないとけん制した形だ。

高市早苗首相(首相官邸Xより)
高市早苗首相(首相官邸Xより)
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「前日の18日には、日本外務省が協議のため訪中させた金井正彰アジア大洋州局長に対し、劉勁松・中国外交部アジア局長はかつて日本の支配と闘った若者たちを思わせる服を着て応対しました。

その際、中国メディアは、劉氏が両手をポケットに突っ込んで立つそばで金井氏がへりくだって頭を下げているように見える場面を報じています。
実際には金井氏は通訳に耳を傾けていただけで、こうしたフェイクに近いビジュアルで印象操作をすることは外交の場ではよくありますが、それは当然“相手をやり込めてやった”とアピールするためです。協議では衝突しただけだったことはわかります」(政治部記者)

同じ18日、中国はマカオで24日に開催を予定していた日中韓文化相会合を延期すると韓国に通告。これが明らかになった20日、中国外交部は高市発言が3か国協力の「基礎と雰囲気を破壊した」ことが理由だとし、第三国も騒ぎに巻き込んだ。

「中国は2017年、中国の弾道ミサイルに対応できる迎撃システム『THAAD(高高度防衛ミサイル)』の在韓米軍への配備を許した韓国に対し、韓国企業の中国内での活動や貿易に対し強力な圧力をかけました。

経済面で中国に大きく依存していた韓国は耐えきれず、同システムの運用に条件を付けるなど中国に譲歩して収拾を図りましたが、今も配備に絡む緊張はくすぶっています。中国がこれほど露骨に“怒り”を見せるのはあの時以来だと、周辺国も中国の振り上げたこぶしの行方を注視しています」(外報部記者)

19日にはスパイ摘発を担う国家安全省が、高市首相発言を批判するSNS投稿に「日本情報機関によるスパイ事件を多く摘発してきた」と強調する一文も入れた。

両国の地方レベルでの交流イベントも次々中止されている。北京市共産党委員会の機関紙は、東京・上野動物園にいる双⼦のパンダが返還期限の来年2月に中国へ帰ってくれば、「⽇本は全国にパンダがいなくなる状況に直⾯する」との専門家の“警告”を掲載した。

上野のパンダ(写真/PhotoAC)
上野のパンダ(写真/PhotoAC)