人生を変える〝偶然〞に出会うために

確かに予期できないことが起きるのは怖いですし、おおよその予想図に従って今やるべきことを逆算したほうが合理的で自分を納得させやすいものです。

それでも、自分が想像したこと以上のことが起こらない人生なんて、はっきり言って退屈だと思うのです。人が想像できる未来なんて、所詮は自分の知識の範疇にすぎません。

だから、自分の頭の中の想像だけで人生のロードマップを描いていてもいけない。偶然のダイナミクスに、身を委ねることも大切だと思うのです。

なぜ人は「未来」にしか興味を持てないのか――バカリズムの大喜利回答が突いた人間の本質とは_3
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そして心躍るような、ワクワクするような内受容感覚に耳を傾けて行動することが、偶然に出会うためのコツでもありそうです。ジョブズは、スピーチでこうも語っています。

あなた方の時間は限られています。だから、本意でない人生を生きて時間を無駄にしないでください。ドグマにとらわれてはいけない。それは他人の考えに従って生きることと同じです。他人の考えに溺れるあまり、あなた方の内なる声がかき消されないように。そして何より大事なのは、自分の心と直感に従う勇気を持つことです。あなた方の心や直感は、自分が本当は何をしたいのかもう知っているはず。ほかのことは二の次で構わないのです。

思い返して見れば気づく通り、人生は偶然の連続であり、偶然が育んだ土壌の上で私たちは生きています。

生まれた場所、親、クラスで隣になった友人、職場で出会ったパートナー、たまさか開いた雑誌にあった言葉、好きになった人が好きなこと、すべて偶然の出会いであり、そんな出会いが人生を劇的に変化させているはずです。

あなたの人生の中で起きた大きな出来事の背後には、偶然の仕合せがあったのではないでしょうか。

ならば、時として、脳が創り出した予定調和や資本主義が是とする効率的な思考で舗装された道を外れ、あえて偶然の発見に満ちた獣道を進んでみたって良い。もっと私たちは、人生に偶然が訪れる機会を増やしていくべきです。そして、その偶然に気がつくだけの余裕―〝暇〞も。

もちろん、ただ破天荒に生きろと言っているわけではありません。

しかし、今日から自分の人生に、少しだけでも「ランダム」を組み込んでみてはいかがでしょうか。人との対話が生まれる場所、自然の中の散策、フィクションの世界など、ランダムな発見に触れられる空間に身を投じてみてください。

文/森下彰大 写真/shutterstock

戦略的暇―人生を変える「新しい休み方」―
森下彰大
戦略的暇―人生を変える「新しい休み方」―
2025/4/24
1,980円(税込)
320ページ
ISBN: 978-4868010753

▼「ビジネスブックマラソン」(2025/04/23)で紹介され、大反響!



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立ち止まることで、人生が変わる
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「仕事がうまくいかない」「人間関係で悩んでいる」
「最近、寝ても寝ても眠い」「いつも不安や焦りを感じている」
「頭痛、腰痛に悩まされている」など、
現代人が抱えている様々な問題は、
“脳疲労”が原因です!

デジタル技術の急成長により、
私たち人間は“脳疲労”を経験しています。
現代特有の「徒労感」や「生きづらさ」から脱却し、
幸福な生き方を描くために──
大切なのは、「タイムアウト(一時休止)」。
自分の人生に「ポジティブな変革を起こす」ための休息が必要です。

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今の私たちに足りないのは、余白ではないか。
私たちが思うように力を発揮できないのは
「ケイパビリティ(能力)」ではなく、
「キャパシティ(許容量)」の不足が原因なのではないか、と。
スマホの充電は満タンなのに、
自分の充電ができていない人がたくさんいます。
でも、やっぱりそれは勿体ないこと。
              ――「はじめに」より

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本書では、古今東西の膨大な研究や名著から、
「なぜ、人は充実した時間を失っているのか」
という問題について考え、現代社会を俯瞰します。
脳疲労から、そして「効率主義」をはじめ
現代人がとらわれるバイアスから脱却する方法として
3つの戦略的“暇”を提案します。
ぜひ、今日からでも戦略的“暇”に取り組み
自分のために充実した時間を取り戻しましょう!

【目次例】
PART1 戦略的“暇”とは?
第1章 私たちはどこから来たのか
1.最高のOFFから最高のONを生む
2.良質な暇の希少化と「新しい休み方」の必要性
4.暇の向かう先は必ずしも善ではない     など
第2章 デジタル社会は私たちをどう変えたのか
1.ほぼデジタルライフに生きる私たち
2.AI時代に欠かせない創造性が奪われる
3.身体への影響 など
第3章 デジタル社会と分断される「今」
1.糾弾されるテック企業
2.フィルターバブルとエコーチェンバー
3.タバコより強い誘引力を持つSNS
4.孤立する「今」──ナウイズムの檻 など
PART2 これからのデジタル社会をどう生きるか
第4章 デジタルと共存する「新しい休み方」 STEP1:デジタルデトックス
1.「依存」ではなく「共存」する
2.現代人が陥る「情報の新型栄養失調」 など
第5章 コスパ・タイパからの脱出 STEP2:時計時間デトックス
1.時計時間にとらわれる私たち
2.時計時間からの脱出方法①:フロー など
第6章 凝り固まった「私」を解き放つ STEP3:自分デトックス
1.デジタル的に括られた自分
2.禅が目指すのは「自分の消失」 など
第7章 ゲーム・チェンジャー「スぺパ」
1.他者との交わりから自分を見つける──バフチンとメロン
2.個人で「スぺパ」を取り入れる など

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