現代人が陥る「情報の新型栄養失調」
情報の栄養バランスに注意「新型栄養失調」とは、私たちの生命活動に必要なカロリーは充分足りている反面、ビタミンやミネラルなど必要な栄養素の摂取量が不足している状態のことです。
極端な粗食や偏食が原因とされており、免疫力や運動機能の低下などの大きなリスクを孕んでいます。従来の栄養失調は食事から得るカロリーがそもそも足りていない状態なのですが、摂取カロリーは足りていても(過剰に摂取していても)、特定の栄養素が足りていないことから生じます。実は、栄養失調は食料が慢性的に不足していた時代の話だけではないのです。
ここから転じ、情報の新型栄養失調という造語が指し示すのは、「充分すぎる量の情報を消費しているのに、その情報バランスは偏っており、自身のメンタルヘルスを損ねている状態」です。
これまでの章で触れた通り、ネット上で得る情報は自分の興味・関心のあることがメインかつ、その情報も非常にかいつまんで説明されたもの(加工されたもの)が多いです。
そして、アルゴリズムによって「自分が関心を持つと思われる情報」が優先的に送り届けられるため、消費する情報のバランスを欠くことに繫がります。
ニュースメディアやSNSに出回る情報の中には読者の不安や注意を過度に煽るジャンクな情報も多いため、刺激はあれど人生においては役に立たない情報を貪り続けるのは避けたいものです。
自分が口にするものに何が入っているのか意識をする人は多いものの、情報にはそのような成分表示はされていません。最近、ショート動画がよく出回るようになりましたが、ファクトチェックが不充分なコンテンツも多く、事実誤認どころか視聴回数を増やすために事実を誇張、歪曲しているような動画も見受けられます。
英語には〝You are what you eatあなたはあなたの食べるものでできている〞という言葉がありますが、私たちの脳は情報を食べて、その情報から目の前の世界を形作っていきます。
現代人の情報における栄養バランスは非常に悪くなりがちだと自覚したうえで、意識的に情報の好き嫌いをなくして幅広い情報を摂取する必要があるのです。













