「似ているとか言われると、なかなか困る」
目下、これまで政府が結びつけてこなかった台湾有事と、集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」の関係について言及した高市総理の国会答弁をきっかけに、日中関係が緊張している。その打開策を問われると、率直にこう述べた。
「それはねえ、昭和 47年の日中国交回復以来、ものすごく、ものすごく神経を使ってきた。だから、台湾が中国の一部であるという中国の考え方を日本は理解し尊重するということが、歴代宣言の立場なのであって、そこのところを全くこう変えてはならないことだし、そういう考え方の元に歴代政権、ものすごく注意をしながらやってきた。
食料の輸入でもそうでしょう。レアアースでもそうでしょう。薬でもそうでしょう。中国との関係なくして、我が国は成り立つんですか?ということですよ。そこは中国との関係というのを大事にしていきながら、我が国と中国は、アメリカとの関係も図りながら、細心の外交を展開するということは当たり前のことです」
総理経験者として、外交については慎重な言動が求められることを強調したかったのだろう。講演の終盤では、高市総理とも親交の深い篠原氏が、石破氏との意外な共通点について言及する場面もあった。
「高市さんと石破さんというのは、本当にスタンスが違うんだけど、1つ共通項があるのは、あんまり人と会食をしたり、人と会合したりするよりも、一人で資料を持ち込んで勉強する。これは似ていますね?」
すると、石破氏は「またそういう違いとか、似ているとか言われると、なかなか困る」と述べつつ、こう語った。
「我々は納税者の代表として議員でいるわけですよ、そして行政の長でいるわけですよ。そうすると、野党と議論する、あるいは官僚と議論するというときに、あれも知りません、これも知りませんで、納税者の代表たりうるかという当たり前の話ですよ」
さらに、篠原氏が「石破さんの考え方を高市さんに直接会って、伝えようという気持ちはありますか?」と問いかけると、次のように語った。
「私が(第二次安倍政権において自民党の)幹事長で、彼女が政調会長だったときもあるし、人として善良な人ですよ、彼女は。とっても思いやりのある人だと思う。だけども、総理大臣になると、それだけでは務まらんので、やっぱり彼女の周りに、本当にフレンドリーな人たちがいっぱいいるわけで。まずは、そういう人たちのアドバイスを聞くってことが第一でしょう」
かつて“党内野党”とも言われ、時の政権に、臆することなく意見してきた石破氏だが、この日は高市政権については抑制的な発言が目立った。
とはいえ、高市政権の高支持率について問われると「(政権の評価は)世論調査が決めるものではなく、次の時代が決めるものだと思っている」という言葉も。総理退任後も、自民党のご意見番として、石破氏の発言に注目が集まりそうだ。
取材・文/河野嘉誠 集英社オンライン編集部ニュース班














