「糖質」のドカ食いは絶対タブー。一瞬で体力を失う

スポーツ選手は練習や試合の前後にバナナやおにぎりをよく食べる。糖質は体を動かすための重要なエネルギー源だ。

もちろんスポーツのみならず、仕事や遊びや家事をアクティブにこなすうえでも糖質は欠かせない。ただし糖質は諸刃の剣だ。頼もしいエナジーチャージになる反面、リスクもある。摂り方を間違えると逆に体力を削られてしまうのである。

昼食のあとに強い眠気に襲われた経験はないだろうか。午前中は快調に仕事ができていたのに、午後になると倦怠感にとらわれてパフォーマンスが落ちる。寝不足というわけではない。前の晩はしっかり眠ったはずだ。一体どういうことだろう──。

その原因の大半は、昼食で大量の糖質を摂ったせいだ。単なる満腹感でグダグダになっているのではない。

写真はイメージです  (写真/shutterstock)
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糖質を摂ると血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)が上がり、膵臓からインスリンというホルモンが分泌される。そのインスリンの働きによって血中の糖は筋肉に取り込まれてエネルギーとして利用されたり、脂肪細胞に取り込まれて脂肪としてエネルギー貯蔵される。つまりインスリンには食事によって上昇した血糖値を適切な水準に戻す役割がある。

では糖質主体の食べ物(大盛りカレーライスやカップ焼きそば、ラーメン・半チャーハンセットなど)を一気にかき込むとどうなるだろうか。血糖値の急激な上昇にともないインスリンも大量に分泌される。すると急上昇した血糖値が一転して急降下する。それがマズい。

そのジェットコースターのように血糖値が乱高下する状態を「血糖値スパイク」と呼ぶ(血糖値の推移をグラフで見るとトゲ(スパイク)のような形を描くため)。この血糖値スパイクが強烈な眠気や倦怠感の正体だ。急激な血糖値の変動は体の不調を招くのである。

血糖値スパイクはかなり厄介だ。そうした短期的な不調にとどまらず、血管にもダメージを与える。血管の内側が傷つき、炎症をきたすのだ。それがたびたび繰り返されると深刻な事態におちいる。血管がすっかり弾力を失ってもろくなり、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが跳ね上がるのである。