摘発されたお店があるマンションの住人「なんか怪しい店だなと思ってた」

タイ北部に住んでいた少女は母親に連れられ来日し、文京区湯島のマンションの一室にある個室リラクゼーション店で働かされていた。母親には借金があり、日本や台湾、シンガポールに出稼ぎに出て性的サービスをする仕事をしており、少女と共に暮らしたことはほとんどなかったという。社会部記者は言う。

「少女はタイ北部の学校に通っていたようですが、今年6月に日本から一時帰国した母親に連れられ湯島のリラクゼーション店に来たようです。母親は日本を離れる際に赤ちゃんを連れており、『あなたの弟だから、赤ちゃんを連れて帰る』『性器をさすったら終わりだから』と説明され、母は娘を置いて出国しました。

娘は『私が働かなければ家族が暮らしていけない』『ちゃんと接客しないと母に怒られる』と思い、1ヶ月間、60人もの客を相手にさせられたようです」

現場となった個室リラクゼーション店(HPより)
現場となった個室リラクゼーション店(HPより)
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日本語を一切話せなかった少女だが、9月16日に自ら東京都港区の東京出入国在留管理局を訪ね、職員に「タイに帰りたい」「学校に行きたい」と話したことで人身取引の被害者として保護された。

その後、警視庁保安課と本富士警察署ら4つの警察署との共同捜査により11月4日に店の経営者の細野正之容疑者(51)と、従業員のホームジャン・ギタヤポーン容疑者(32)が労働基準法違反(最低年齢)の疑いで逮捕された。ホームジャン容疑者は不法滞在の疑いもあった。

現場の店舗は8階建ての雑居ビルにあった。2階と3階は20年以上前からある昔ながらの会社が入っており、4階から8階は住居や多くのテナントが入っている。このビルの管理会社の担当者は言う。

「老舗の会社さんが入るしっかりした印象がありながら、テナントのほかに、住居エリアには日本人の単独居住者や、タイの女性が複数人で住む部屋やタイ人のご家族が住む部屋など、様々な居住者がいる変わったビルという印象はありました。

というのもウチは先月から管理を任されることになり、まさか担当してすぐにこんな事件が起こるとは思わず困惑しています。住民にご挨拶に行った時、当該店舗にもご挨拶には行きましたが、確かに変な印象はあったし、よく住民から苦情が来ないなとは思っていました」

このマンションの住人である子連れのタイ人女性に声をかけると「なんか怪しい店だなと思ってた」と話す。同じマンション内で美容サロンを経営する日本人女性は「他の住人との関わりは一切ないのでまったく知りませんでした。でも4日夕方に黒い服の捜査員と報道の方が大勢いたので何事かと思いました」と事件に驚いていた。

現場となったマンションのポスト
現場となったマンションのポスト