「いい人事だろう。石破さんが反面教師だよ」
党人事では麻生氏一人勝ちだったために、高市氏は自らの政権基盤の安定のためにも、ライバルたちをみんな取り込んだともいえる。高市氏の周辺は「いい人事だろう。石破さんが反面教師だよ」とささやく。
石破氏は昨年の総裁選の決選投票で、1回目の投票で1位通過だった高市氏に逆転勝利を収めた。だが、石破氏が高市氏に打診したのは名誉職的色彩の強い、党の総務会長だった。
高市氏からは「幹事長以外は受けない」と拒否され、小林氏も党の広報本部長という「微妙な」ポストを提示されたため、断った。
結局、自らの閣内にライバルを取り込みきれず、石破政権は「石破降ろし」にあって1年で倒れた。高市氏周辺は「おなじ轍を踏まない」とばかりに4人を取り込んだ。さらに石破氏の最側近の赤沢亮正氏を経済再生大臣から「格上」の経済産業大臣に横滑りさせた。
赤沢氏と言えば石破総理の最側近としてトランプ関税交渉を一手に引き受けていた。わずか半年足らずの期間に10回以上も関税交渉で渡米したため、ネット上には「ピストン赤沢」などとタグがついたほどだった。そんな石破氏の側近に継続してトランプ関税の交渉を担ってもらうことにした。
“人質”となった赤沢経産大臣
高市氏の側近はこう語る。
「関税交渉もあるけど、赤沢さんは石破さんたちが反乱軍を決起しないように『人質』でもあるんだ」
もちろん、3度目の総裁選を戦ってわずかな差で勝利を収めたことから、論功人事も忘れていない。
総理官邸で総理を支える大黒柱の官房長官には木原稔氏を選んだ。木原氏は安倍晋三氏が会長を担った右派色の強い議員連盟「創生日本」の事務局長を務めていた。高市氏が山本拓氏と再婚する際に相談するなど、弟分として信頼が厚い。
高市氏にとって松下政経塾の後輩でもある黄川田仁志氏も地方創生担当大臣に起用した。黄川田氏と言えば、先月の高市氏の総裁選の出馬会見で司会を任されて、質疑で挙手した記者を指す際に「そこの顔の濃い人」「隣の白くて濃くない方」などと言って、謝罪に追い込まれた。ただ、ずっと高市氏を応援してきたことが実っての初入閣だ。
挙党、論功、そして女性登用では前述した片山氏に加えて、参院2期目の小野田紀美氏を抜擢した。総裁選で高市選対の「キャプテン」を務めた人物だ。













