愛・地球博と比べて「何を残したか疑問が残る万博」
さらに、山田さんの万博愛が芽生えるきっかけとなった2005年の「愛・地球博」と比べてどう感じたかも聞いてみると、
「今回の万博も楽しかったんですけど、何を残したかと言われたら…正直、疑問が残る万博でした。『愛・地球博』のときは、“美しい地球を守る”をテーマに、会場内のゴミの分別やマイバッグの推進、植物由来の製品開発などが提案され、その後の循環型社会への機運が一気に高まった万博でした。
あと、愛知のときは最先端のロボットがあちこちにいて、近い未来への実現性を肌身で感じましたが、今回の万博では技術が応用されてはいるものの、ワクワクする未来を感じる場面は少なかったです」
と率直な感想を口にした。それでも会期中は多くの人と触れ合い、貴重な万博ライフを過ごした山田さん。閉幕後は速やかに愛知の自宅に帰る予定だという。
「『愛・地球博』が終わった際も、会場の解体作業を見ると、悲しい気持ちにしかなりませんでした。だから大屋根リングの取り壊しも見たくない気もして…。愛知の自宅は半年以上放置して荒れ放題なんで、早めに戻って元通りにします(笑)」
と笑顔で語った。最後に山田さんの次なる目標を聞いてみたところ、
「大きな目標としては、2030年のリヤド万博(サウジアラビア)、2027年のベオグラード万博(セルビア共和国)と国際園芸博覧会(横浜)に行くことです。そのためにコツコツ節約してお金を貯めていきたい。今までの万博で出会った人々との交流を続け、命続く限り自力での万博の参観を目指したいです」
と、力強く語った。
10月13日に閉幕し、その1週間後には取り壊し作業が行なわれるといわれている夢洲会場。万博は終わってしまうが、世界の人々が同じ時、同じ場所に集まり、楽しく手を取り合った日々は多くの人々の記憶に残り続けるだろう――。
取材・文/木下未希